仏壇のいろは!値段や向き、お供え物や掃除、引っ越しなど

ライフスタイルが大きく変化した今、仏壇も非常に多様化しています。

でも、昔ながらの慣習や宗派による違いなどもあり、選ぶのは意外と大変です。

また、家のどこに置くべきか悩む人も多いことでしょう。

ここでは仏壇の置き場所と向き・値段や掃除など購入・設置時の基本情報と、

引っ越すときの供養他宗教の仏壇についても紹介しています。

仏壇の構成(仏具、位牌、遺影など)

先祖を祀るものと勘違いしている人も少なくありませんが、

仏壇は小さな「寺」を表しており本尊である仏を拝むためのものです。

一般的な仏壇は以下のように三段で構成されています。

手前の一段目は「前卓(まえじょく)」といい、

お供えする花を入れる花瓶やろうそくを灯す燭台、

鈴、仏前に食物・茶湯を捧げる高杯(たかつき)を置きます。

二段目は「上卓(うわじょく)」といい、ご飯を供える仏飯器(ぶっぱんき)と、

飲み物を供える茶湯器(ちゃとうき)を置きます。

奥の三段目が一番高くなっており、

中央に本尊、両脇には本尊のそばに控える菩薩や明王、天など脇侍(きょうじ・わきじ)

または位牌などを安置します。

さらに天井から瓔珞(ようらく)という飾りを吊り下げます。

 
これらのうち「三具足」と呼ばれる花立て・香炉・燭台は宗派に関わらず必要ですが、

その他の仏具は異なるものも多いです。

特に三段目の本尊と左右の脇侍は大きく異なっています

《 宗派による本尊と脇侍の違い 》
宗派 本尊 脇侍
(向かって左側)
脇侍
(向かって右側)
浄土宗 阿弥陀如来 円光大師
(法然上人)
善導大師
浄土真宗 阿弥陀如来 蓮如上人
(九字名号)
親鸞聖人
(十字名号)
真言宗大日如来不動明王 弘法大師
(空海)
曹洞宗釈迦如来常済大師
(瑩山禅師)
承陽大師
(道元禅師)
日蓮宗曼荼羅 大黒天 鬼子母神
天台宗 阿弥陀如来
(または座釈迦)
伝教大師
(最澄)
天台大師
臨済宗 釈迦如来 承陽大師
(道元禅師)
達磨大師
(だるま)

同じ宗派でも異なることがあるので、購入時は仏具屋で確認することをおすすめします。

また、位牌を置くか置かないかも宗派による違いがあるので、

併せて聞いておくと良いでしょう。

なお、本尊・脇侍は仏像を安置する場合と掛け軸の場合があります。

扉は両開きが一般的ですが、一重と二重があります。

置き場所と向き

仏壇の購入を決めたとき、いちばん悩むのは「置き場所と向き」だと思います。

昨今の住宅事情もあり、タブー視されることはなくなりましたが、

次の条件に合うところを選ぶと良いでしょう。

仏壇に適した置き場所

  • 仏壇の上部の空間を人が歩かない
  • 神棚や床の間と向かい合わせにしない
  • 直射日光に当たらない風通しの良い場所
  • 正座した時に、本尊が目線より上になる位置


 
この中で最も難しいのが「仏壇の上部の空間を人が歩かない」ことです。

戸建てなら一番上のフロアに置けば間違いありませんし、

下層階に置くのなら上に部屋や廊下がない(屋根のみ)場所なら問題ないでしょう。

難しいのはマンションなど各部屋の構成が同じ集合住宅に住んでいる場合です。

部屋が最上階にない限り、部屋の中は階上の人が歩くスペースにあたってしまうので、

マンションなどでは壁と壁の間…例えば「ニッチ」のような壁を窪ませた部分を利用して

設置するのが望ましいということになります。

しかし、置き場所が作れないので仏壇を置かないというよりも、

身近に拝むところが欲しいという崇高な思いを優先して、

こだわらず好きな部屋に置く人も増えています

こういった場合には仏壇のサイズも問題になりますが、

後述しますのでそちらをご覧ください。

 
一方で、仏壇を置く向きには宗派によるがあり、

一般的には次のように置くのが良いとされています。

《 仏壇を置く向き 》
向き宗派 理由
南面北座 部屋の北側に置き、南に向ける。曹洞宗・臨済宗など
(禅宗に多い)
中国思想の貴人の居所に多い配置に倣ったもの。
東面西座部屋の西側に置き、東に向ける。 浄土宗・浄土真宗・天台宗など 阿弥陀如来が創った極楽浄土が西方にあるという仏教思想から。
本山に向ける 真言宗
決まりはない 日蓮宗

この他、仏壇に対面したとき(拝むとき)に本山を向けるようにするために、

仏壇の背を本山側に置く宗派もあります。

また、仏壇の家具としての特性から、直射日光を避けられるので傷みにくく、

風通しが良いのでカビ防止になる「南向き」の置き方が良いというものもあります。

これは南面北座と同じ置き方になります。

 
仏壇の置き方や向きには宗教上あるいは家具として推奨される理由がありますが、

現在では「こう置かなければいけない」という風潮はあまり見られません

間取りの関係で難しい場合もあると思うので、

各家庭で一番良いと思われるところへ安置するのが適切だと思います。

ただし、拝むときに仏壇を見下ろすのは不敬とされていますので、気を付けましょう。

仏壇の種類と値段

この数十年間で日本人のライフスタイルは大きく変化し、

それに伴って仏壇も多種多様なものが見られるようになりました。

仏壇は本来「寺」を表すので、基本的には前述のような木製の三段構造となりますが、

住宅事情やニーズに合ったサイズ・デザインのものを選ぶと良いでしょう。

仏壇の種類には台が付くか付かないかなどのサイズによる分類と、

デザイン(外観)による分類があります。

これらを組み合わせることで多種多様な仏壇が販売されているのです。

ここではサイズとデザインに分けて見ていきましょう。

サイズ

昔ながらの典型的な仏壇は仏間に安置することが多いので、

大型の「台付仏壇」でも設置可能ですが、最近ではタンスの上などに安置でき、

台がない小さめの「上置仏壇」が主流です。

また、リビングの棚やチェストの上に置けるほどのミニ仏壇は、仰々しさが少なく、

若い世代やマンション住まいの人に人気があります。

 
仏壇のサイズは「号」で表します。

各仏壇の主なサイズを紹介しておきましょう。

《 主な仏壇のサイズ 》
種類号数 高さ(㎝) 横幅(㎝)奥行(㎝)
台付仏壇 40~57
・大型
122~171・180 62~83・115 52~67・90
上置仏壇 16~28 49~8632~7226~50
ミニ仏壇 横幅20㎝以下のもの、厨子型・ステージ型などサイズや形は様々。

※ 1号=3㎝で高さを表しています。

デザイン

仏壇のデザイン(外観)には伝統的な「金仏壇」「唐木(からき)仏壇」のほか、

洋間にも馴染みやすい家具調仏壇、インテリア性の高いミニ仏壇などがあります。

金仏壇とは黒の漆塗りに金箔や金粉をはったもので、

特に浄土真宗で用いられることが多い仏壇です。

きらびやかに輝き、荘厳な印象がある一方、存在感があり大きいサイズが多いため、

昨今の住宅には置きにくい面もあります。

同じく唐木仏壇も大きめですが、こちらは黒檀・紫檀といった高級な木材で作られ

木調の落ち着いた格調高い雰囲気になっています。

他方、家具調仏壇は一見すると仏壇だとわからない外観で、

唐木仏壇より明るい色調の木材をつかったものもあり、

現代人のライフスタイルに溶け込みやすいよう作られています。

以上の3点は基本的に縦型で、両開きの一重または二重の扉がありますが、

家具調仏壇には擦りガラスを用いた洋風のものもあります。

これに対し、ミニ仏壇は扉が一重であることが多く、両開きのほか手前に開くものや、

扉のないオープンタイプ、台座のみといったものもあります。

また、横型もあり、丸みを帯びたモダンなデザインも多く見られます

ただし、スペースが小さいものは前述した仏具をすべて置くことはできません。

本尊と三具足でいっぱいになってしまうものもあります。

どのように祀りたいのか考えて選ぶと良いでしょう。

中には仏壇ではなく手元供養用の遺灰を置くためのものもあるので、

間違えないように注意しましょう。

なお、宗派によっておすすめの仏壇があることは確かですが、

最近はライフスタイルを重視して仏壇を選ぶ人が増えているので、

長く祀れるものを選ぶと良いと思います。

値段

立派で荘厳な仏壇は今でも宮大工が作るもので、

日本の伝統工芸品ともいうべき価値を持ちます。

そのため、非常に高価な仏壇もあり、最高級品は500万円を軽く超えてしまいます。

大型であれば価格も上がる傾向にありますが、

それぞれ一般的なサイズの仏壇の相場を見てみましょう。

《 一般的な仏壇の相場 》
種類一般品の相場
金仏壇 80万~130万円
唐木仏壇 60万~110万円
家具調仏壇 30万~60万円前後
デザイン・材質による違いが大きい
上置仏壇 5万~15万円
ミニ仏壇 ~5万円

ただし、種類の項で触れたように、

仏壇はこれらのサイズやデザインを組み合わせたものが売られているので、

例えば上置仏壇でも金仏壇のような装飾が施されていれば高価になります。

ミニ仏壇はシンプルなものが多いので安価なものが中心ですが、

木材によっては高価なものもあります。

掃除・クリーニング

仏壇は意外と奥行きがあり、仏具や装飾用の彫り物などで凹凸があるものが多いため、

非常に掃除しにくい面があります。

まずは不要な時間帯は扉を閉め、埃が入らないようにするなどの対策を取りましょう。

仏壇は常に開けっ放しという家も少なくありませんが、

朝に開け、夜に閉めるのがおすすめです。

閉めっぱなしは湿気がこもりますし、本尊の姿も拝めないので、

時間帯によって開け閉めすると良いでしょう。

埃が舞い上がりやすい部屋の掃除や布団を敷くときには、

一時的に閉めておくといいですね。

それでも仏壇の中に埃が入り込んでしまったときは折を見て掃除するようにしましょう。

掃除の方法

仏壇はとてもデリケートにできているので、毛バタキややわらかい布で掃除をします。

初めに毛バタキで上から順に軽くはたいて汚れを落とし、布で拭き取ります

細かい部分には綿棒ややわらかい刷毛を使うと楽ですよ。

線香の灰や供え物、花粉や花びらなど、どうしても気になる汚れがある場合は、

固く絞った雑巾で拭いたあと、乾拭きすると良いでしょう。

ただし、金仏壇は水を使うと漆が傷んでしまうので、やめましょう

金箔部分も布などで擦ったり手で触ったりしないように気を付けてください。

布製の手袋をはめて行うのも良いと思います。

 
また、時々は仏壇の中に納めているものをすべて取り出し、きれいにしたいものです。

戻し方がわからなくならないように、初めに写真を取っておくことをおすすめします。

唐木仏壇は仏壇用クリームを塗るとピカピカになります。

掃除の前後には手を合わせるようにしましょう。

クリーニング

代々受け継いできた仏壇の汚れやくすみは、

一般的な掃除では元のツヤや輝きを取り戻すことはできません。

そんなときは専門業者に依頼すると良いでしょう。

自宅で掃除するタイプ、業者が持ち帰って洗浄するタイプ、修繕を含むタイプなど

いろいろありますから、まずは見積もりを取って検討してみると良いでしょう。

唐木仏壇は数万円から、金仏壇は10万円からが相場です。

仏壇の引っ越しなどを機に依頼するのも一法です。

仏壇の引っ越し

一度安置した仏壇はなかなか動かさないものです。

しかし、

  • 自宅の引っ越し
  • 建て替え
  • 部屋のリフォーム
  • 大掃除

などで仏壇を動かすことになったら、どうすれば良いでしょうか?

 
仏壇は初めに安置した時に「開眼法要」を営み、魂を入れてもらっています。

そのため、動かす時には仏壇にこめた魂を一度抜く「閉眼供養をする場合」と

「そのまま動かしてよい場合」があるのです。

この点を含め、仏壇の移動について詳しく見ていきましょう。

閉眼供養をする場合

供養が必要になるのは「家の外に出す場合」です。

建て替えに伴う一時的な引っ越しや転居などが該当しますね。

また、同じ敷地内でも母屋から離れに移す場合も家から出るために供養が必要です。

一般的には、仏壇を外に出す日(引っ越し)の

一週間前から前日までに供養ができるよう僧侶に依頼しておきます。

新居に運び込んだら開眼法要を行い、仏壇に魂を再び入れてもらいましょう。

同じ敷地内や近所への移動なら、作業が一日で済むので僧侶に待機してもらい、

同じ日に閉眼供養と開眼供養を行ってもらった方が良いでしょう。

 
なお、閉眼供養・開眼法要の際には、その都度お布施を僧侶に渡します

菩提寺との付き合いなどにもよりますが、

白無地の封筒に「御布施」または「閉眼供養料」「開眼法要料」と書き、

1万~5万円ほどを包んで渡します。

必要であれば「お車代」も用意しておきましょう。

そのまま動かしてよい場合

供養が必要がないのは、「家から出ない場合」です。

同じ家の中で別の部屋に移動する場合や、

模様替えなどで部屋の中の位置を変える場合などが該当します。

自分で動かすことになると思いますが、取扱いには十分に注意して行いましょう。

移動の仕方

仏壇を動かすときは供養の有無に関係なく、必ず拝み、移動することを伝えましょう

動かす前に現状の写真を取っておくと、

仏具の配置がわかるので元に戻すときに役立ちますよ。

引っ越しであれば業者が仏具などを取り出し梱包してくれる場合もありますが、

自分で行う場合は丁寧に一つずつ取り扱いましょう。

きちんと梱包すれば他の荷物と一緒に運んでも大丈夫ですが、

本尊や脇侍は自分たちで運んだ方が良いでしょう。

なお、荷物を運び出すときは仏壇類を最後にし、

新居に入るときいちばん先に運び込むのが良いと言われています。

仏壇をしっかり固定し、仏具や本尊などを元通りに並べたら終了です。

線香を供え、無事に引っ越しを終えた報告と合掌をします。

必要であれば僧侶を招いて開眼法要をしてもらいましょう。

 
なお、部屋の中の移動だけなら良いですが、引っ越しはもちろん、

部屋から出す場合は本尊や両脇侍を白い布や紙で包むのが礼儀とされています。

移動する日取りを気にする人もいるかもしれませんが、

基本的に六曜(大安や仏滅など)は仏教と無関係なので、いつでも問題ありません

また、引越し業者に依頼した場合、仏壇は美術品として扱われるため高額になったり、

引き受けてもらえなかったりすることがあります。

見積もりを取って検討・確認するようにしましょう。

仏壇が置けないとき

通常の仏壇を置く場所がないときは、

ミニ仏壇か手元供養用の遺灰を置く台などを利用するのも良いでしょう。

 
ミニ仏壇は棚の上などに置ける省スペース型の仏壇で、

前述の通り洋風のリビングでも違和感のないモダンなものが多くあります。

中には壁掛け式もあり、置き場所がなくても仏壇を設置できるのでおすすめです。

小さいながらも仏壇である以上、本尊を祀り、三具足は用意しましょう。

さらにコンパクトな手元供養用の台には位牌や故人の写真を置くことが多く、

本尊を祀らないために正確には仏壇とは言えません

しかし、故人や先祖を身近に感じたい人や、

仏壇ほど仰々しくなくて良いと考える人が増えているため、ニーズが増えています

インテリア性の高いミニ仏壇や台に合わせ、

三具足などの仏具もガラスや明るい木目調などおしゃれなものが販売されています。

仏教以外の仏壇は?

仏壇は仏(本尊)を祀るもので寺の代わりであることは既に述べました。

では、仏教以外の宗教にも仏壇のように家庭で祀るものがあるのでしょうか?

ここでは仏教に次いで多い「神道」と「キリスト教」について紹介しましょう。

神道

日本古来の宗教「神道」は、神社やお宮に祀られている八百万の神々を信仰するもので、

家庭では仏教の仏壇に相当する「祖霊舎(それいしゃ・みたまや)」を用います。

仏壇に祀るのは本尊ですが、

祖霊舎では霊璽(れいじ)と呼ばれる位牌のようなものを中央に安置し、

先祖代々の霊璽と重ねて祀ります

これは、神道では故人がその家の守護神になると考え、

その依り代となっているのが霊璽だからです。

似たものに「神棚」がありますが、これは神の御霊を自宅に祀ったものなので、

祖霊舎は神棚よりも低い位置に安置するのが礼儀です。

 
仏壇と祖霊舎には様々な違いがあります。

例えば、仏壇の本尊は直に見ることができますが、

神道では神(霊璽)は神聖であるため、鞘(さや)で覆われ、

通常は目にすることがないように安置します。

また、仏壇はきらびやかなイメージがありますが、

祖霊舎は白木づくりで、お供えに使う神具も白です。

神道では“真の姿”を良しとするため、塗装を施さない無垢なものを使うわけですね。

このため同じサイズの仏壇よりも安価なものが多く、

数万~数十万円程度が相場となっています。

祖霊舎に安置するのものは「三種の神器(神鏡・勾玉・剣)」と、

お供えする「米・塩・水・酒・榊」で、神棚と同じです。

毎月1日・15日に交換するしきたりですが、故人の好物などを供えることもあります。

キリスト教

キリスト教、特にプロテスタントでは偶像崇拝を禁止しているため、

家庭に祈りの対象となる祭壇を設けること自体、ナンセンスかもしれません。

しかし、日本に根差したキリスト教においては、

一つの信仰の表れとして十字架を部屋に置いたり、故人の写真に供え物をしたりなど、

仏教的慣習と融合した行いも多く見られます。

このようなケースでは、あくまでも信仰を身近に感じ、故人を思い出すスペースとして、

ミニ仏壇や手元供養用の台に十字架・ろうそくや写真などを安置するのが一般的です。

決まった形式はないので、好みのものを用意すると良いでしょう。