お墓参りのマナーとは?初めての人が注意すべきこと

進学や就職・結婚などで地元を離れて暮らす人が増えている現在、

お墓参りに行く機会は減少傾向にあると言われています。

そのため、お参りにいこうと思っても“わからないことだらけ”という人が

多いのではないでしょうか?

ここでは、お墓参りする時期や服装・持ち物といったマナーについて、

仏教を中心にそれ以外の宗教も含めてわかりやすく説明しています。

墓参りの意味

お墓とは故人が眠る場所です。

仏教では特に“故人を供養する”という意味合いが強く、

祖先への感謝を伝える方法の1つでもありますが、

同時にお参りする側も故人と向き合ったり、

悲しみを癒したりする“心の拠り所”ということもできます。

こういった点では、日本古来の宗教である“神道”でもほぼ同じで、

故人や祖先を祭り、供養するという意味合いがあります。

一方、“キリスト教”の墓参りには供養するという意味合いはなく、

故人や祖先が安らかに眠れていることを神に感謝することが中心になります。

しかし、宗教を超えた心情として“故人と対話したい”という思いが、

残された私たちに「お墓参り」という形で表されているともいえるでしょう。

服装

お墓参りの服装は、目的や時期によって異なります

それぞれマナーにあった服装で行くようにしましょう。

法要の一環としてお墓参りする場合

住職に供養してもらう年忌法要(一周忌・三回忌など)では喪服か略礼装が基本です。

特に遺族側として法要に参列し、お墓参りに行く場合には、

三回忌までは喪服の方が望ましいでしょう。

バッグや靴も喪服に準じて、装飾や金属がなく光沢のないタイプが適しています。

服装や小物についてはこちらの記事で詳しく触れていますので、ご覧ください。

仏式における葬儀や通夜の服装について

遺族ではない、あるいは三回忌以降であれば、

男性はダークスーツ、女性は地味なスーツやワンピースが適しています。

法要でも時間が経つほど喪の色が薄くなりますが、

お墓は厳粛な場であり、他の参拝者に会うこともあるので、

華美な服装やカジュアル過ぎるものは避けておく方が無難です。

靴やバッグはあらたまったものでなくても大丈夫ですが、

服と同様に派手なもの・カジュアルなものは避け、

落ち着いたものを選ぶようにしましょう。

お墓参りだけの場合

法要以外のタイミングでお墓にお参りする場合は、男女とも平服で問題ありません。

お盆やお彼岸でも寺社や霊園にふさわしい落ち着いた服装であれば良いでしょう。

改まった服装にして手間がかかりお墓から足が遠のくよりも、

普段着で気軽に立ち寄ってもらえる方が故人も喜びそうですね。

また、掃除をする場合は、動きやすく汚れても良い服装の方が適しています。

ただし、ある程度の節度をもった服装は、お墓参りのマナーとして必要です。

普段着といってもTシャツにジーパンはラフすぎるというもの。

例えば、男性ならボタンのあるシャツにチノパン、女性ならカットソーにスカートなど、

掃除しやすくキチンと感のある服がおすすめですよ。

季節によってはジャケットなどを合わせても良いでしょう。

 
靴やバッグもカジュアルすぎないように気をつけたいですね。

服も小物もダークカラーの方がキチンと感はアップしますよ。

派手なものはもちろんNGですが、お盆や秋のお彼岸など暑い時期であったとしても

露出の多いものは避けた方が良いでしょう。

持ち物

ここでは仏式のお墓参りでの持ち物を見ていきましょう。

(他宗教は別項をご覧ください。)

持ち物は“お参りに必要なもの”と“掃除に必要なもの”に分けられます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

お参りに必要なもの

お参りに必要なもの

  • 線香(香)
  • 花(茎を切るハサミもあると良い)
  • 浄水(じょうすい:水のこと)
  • 飲食(おんじき:お供えする飲み物・食べ物のこと)と敷く紙など
  • 灯燭(とうしょく:ろうそくのこと)またはライター
  • 数珠(持っていれば)

この6つがあれば、まずお参りするにあたって困ることはありませんが、

すべてを用意して持参する必要があるわけではありません

例えば、線香は寺院や霊園ならその場で購入し着火してくれることも多いですし、

墓所の近くには花屋も多くありますから、行く途中で買っていけば問題ありませんね。

浄水(墓石のくぼみ部分“水鉢”を満たす水)は墓地で汲んだ水を使うこともできるので、

これも現地で間に合うことが多いです。

また、本来はろうそくに火を灯しお供えとしていたのですが、

最近の墓石にはろうそくのスペースがなく、

香に火をつける際もライターなど便利な器具が普及したことから、

あまり用いられなくなっています。

ですから、予め用意して持っていくものとしては、

お供えする故人の好物「飲食」と、それを供える時に敷く紙、合掌の際に用いる「数珠」

といえるでしょう。

もちろん、墓地で用意できない場合は、香とライター・花・水なども準備して

いくようにしましょう。

ただし、数珠は法要の一環としてお墓参りするのでなければ、

必ずしも持参する必要はありません

さらに、墓が菩提寺にある場合は住職に挨拶をすると思いますので、

菩提寺との関係性によっては菓子折りなどを持参すると良いでしょう。

 
ところで、お供えする花を用意するとき、

種類や色で悩んでしまう場合があるかもしれませんね。

花は左右の花立に対で供えますから、

同じものを2束用意するのが基本で、奇数本にするのが望ましいとされています。

花立のサイズにはいろいろあるので、あまり本数が多いと入りきらなかったり、

すでに花が供えられていて追加できなかったりといった事態もありますので、

茎の太さによって3本か5本が良いでしょう。

ハサミがあると花立てに合わせて茎の長さを変えたり、

既に供えられた花の茎をカットして長持ちさせたりするのに役立つので、

持参をおすすめします。

花の色は比較的自由で、鮮やかな色でも問題ありませんが、

亡くなって間もない人のお墓参りならば

「白・紫」、「白・紫・黄色」などでまとめると落ち着いた感じになるでしょう。

花の種類にも決まりはありませんが、

毒のある花(スズラン、ヒガンバナなど)は適さないとされています。

棘のある花や香りの強い花は避けられる傾向にありますが、

故人が好きだったのであれば棘を落とす、本数を少なくするなどして

供えてあげれば良いでしょう。

花については別項でも触れていきますね。

花屋の店員にお墓に供えることを告げると、本数を考慮しつつ、

日持ちの良い菊やリンドウ・カーネーションなどを中心にまとめてくれるので、

おすすめですよ。

掃除に必要なものと手順

掃除に必要なもの

  • スポンジ(やわらかいもの)
  • 歯ブラシ
  • 布(多めに)
  • ゴム手袋
  • 剪定バサミ(木が植えてある場合)
  • バケツ

お墓をきれいに清めてからお参りするのがマナーですから、

ぜひ掃除用具を持っていく機会を設けましょう。

ただし、法要の一環としてお参りする場合、

当日は喪服を着ていることもありますから、前日までに済ませておけるといいですね。

 
墓石は屋外にあるため、意外と汚れているものです。

水も使いますからゴム手袋をしておくと安心ですよ。

傷がつきやすい墓石も多いので、たわしよりもスポンジや布の方が適しています

水垢やこびりついた苔などは普通のスポンジだと難しいのですが、

メラミンスポンジを使うとキレイに落とせますよ。

メラミンスポンジは100均で手軽に購入できる優れものですが、

墓石の材質によっては傷がつくこともあるので、慎重に使ってくださいね。

文字の部分や石の組み合ったところなど、

細かい部分の掃除には歯ブラシがあると非常に便利ですが、

傷をつけないように優しく掃除しましょう。

花立や水鉢の中も歯ブラシだとキレイに掃除できます。

なお、洗剤類は石材専用のものを使うと安心ですが、

それでも石にシミをつけてしまうことがあるので、水洗いだけでも十分です。

食器用洗剤をはじめ、塩素系・酸素系の家庭用洗剤は絶対に使用しないでくださいね。

 
それでは掃除の仕方について説明しましょう。

周囲が濡れると掃除しにくくなるので、

まずは敷地をきれいにしてから墓石にとりかかると良いでしょう。

敷地の清掃
 

  1. 雑草が生えていれば引き抜く。
  2. 木が植えてある場合、余計な枝や枯れ枝を剪定し、美しく整える。
    隣の敷地にまで枝や根が伸びていれば切っておくのがマナーです。
  3. 周囲を掃き清める。
    墓地や霊園のほうきや塵取りが借りられれば使わせてもらいましょう。お隣の敷地も少し掃いておくと良いですね。
    ほうきがなければ落ち葉など大きなごみを拾い、取り除きます。

墓石の清掃
 

  1. 水を含ませたスポンジか布で、丁寧に拭き清める。
    墓の汚れの大部分は苔やカビ、大気中のホコリなので、基本的にはこすれば落ちるものですが、しつこい汚れにはメラミンスポンジをおすすめします。
  2. スポンジでは洗えないところを歯ブラシできれいにする。
    細かい文字や墓石の組み合わさったところ、花立や水鉢の中は歯ブラシが適しています。
  3. 布で汚れをきれいに拭き取る。
  4. 仕上げに乾いた布で水分を完全に拭き取る
    水分が残っていると苔やカビが生えやすくなりますから、必ず実行しましょう。

 
※ 墓石は下から上へと洗い、最後に下を洗うのが正しい手順とされています。これには下界を示す下部を先に清めるという意味がありますが、こだわらなければ上から丁寧に掃除していきましょう。

なお、墓所にゴミ箱が設置されていない場合は、ゴミは必ず持ち帰りましょう

お参りの時期・時間帯

お墓参りをする機会として多いのは、

命日(祥月命日)や法要のとき、お盆・春と秋のお彼岸などではないでしょうか。

無事に新年を迎えられたということで、

正月にお墓参りし、菩提寺に挨拶に行くという人もいるでしょう。

でも、進学・就職・結婚といった人生の節目に故人に報告しに行ったり、

「近くまで来たから」という急な思い付きだったりしても、全く問題ありません

観光地で歴史上有名な人物の墓に手を合わせた経験はありませんか?

それも立派な「お墓参り」の一つです。

「お墓参り」にいく機会も理由も人それぞれ

会いたいときに会いに行って良いのです。

かつては先祖を敬う慣習が強かったので優先順位が高く、

墓所も近所にあったことが多いので、“墓参りは午前中に”というのが一般的でした。

昔の墓所は日が暮れると暗く人目に付きにくいことから物騒な場所であり、

足元も砂利などで不安定なことから明るい時間帯の方が安全だったのでしょう。

黄昏時は“逢魔が時”と呼ばれ、魔物に遭遇しやすい時間帯と言われたこと

も関係したかもしれませんね。

しかし、現在では必ずしも午前中でなければいけないという風潮は薄れてきています

なお、お盆の時期は提灯を持ってご先祖の霊を墓まで迎えにいき、

提灯の火で自宅まで道案内するという風習があったため、

今でもお墓参りはお盆の入りである13日の午後に行うところもあります。

 
もしかしたら、宗教的な価値を見出せず

「お墓参りの必要はない」と思う人もいるかもしれませんが、

少なくとも自分がこうして存在しているのは、

先祖やお世話になった人たちのおかげですから、

感謝の気持ちを表すのも大切なことだといえるでしょう。

一年に一度でも静かに手を合わせる機会を設けることは、

自分を見つめ直すという点においても意味のあることだと思いますよ。

お墓参りの作法

では実際にお墓参りに行った際の作法について、一般的な作法を紹介していきましょう。

一般的なお墓参りの作法
 

  1. 手を洗い清める。
    お墓参りをする前に、まずは手を洗い清めます。
  2. 寺院墓地の場合は、先に本堂にお参りをする。
    必要であれば住職にも挨拶をし、菓子折りなどを持参していれば渡しておきましょう。
  3. 線香など購入するものがあれば、購入します。
  4. 手桶と柄杓(ひしゃく)を用意し、水を汲んでお墓に向かう。
    共用の手桶と柄杓があることが多いですから、まずはこれを洗い、墓石に掛けるための水を汲みましょう。
  5. お墓の前で一礼し、敷地や墓石を掃除する。
    前述の手順で掃除しましょう。終わったら花立と水鉢にきれいな水を入れておきます。
    最後に墓石の水分を拭き取ることを忘れないでください。汚れの原因になるだけでなく、このあと供える線香が消えてしまうこともあります。
  6. 線香、花、菓子、酒などを供える。
    花や菓子などの供え物をします。線香の火を消すときは、手で仰ぐか線香を軽く振って消しましょう。
    菓子や飲み物などは開封し、すぐに食べられる状態で供えるのがマナーです。菓子は直接置かず、半紙などの上に載せてお供えします。酒を墓石にかけると傷みますので止めましょう。
  7. 拝礼する。
    複数人で訪れている場合は、故人と近い関係の人や年長者から順に拝礼しましょう。
    数珠を持参していれば、手に掛けておきます。
  8. 菓子や飲み物などの供え物は回収し、持ち帰る。
    そのままにしておくと、カラスなどが食べ散らかして汚したり、こぼれてシミになったりしますので、必ず持ち帰るようにしてください。
    お供えは後ほど頂くことで故人とのつながりを表すと言われています。
    線香は燃え尽きるまで見守った方が、火事の心配もなく安心です。

なお、誰かが墓参りにきた直後だと、花がきれいに残っていることがあります

その場合は、しおれたり枯れたりしているものを取り除いてスペースを空け、

自分が持参した花を入れるようにしましょう。

特に祥月命日やお彼岸など、多くの人がお参りに訪れることを予想できる時期には、

本数を少なめに用意する方が良いかもしれませんね。

お墓参りでの注意点

お墓でのお参りに細かい決まりはありませんが、

墓地には共用のスペースも多く、他の参拝者に会うことも少なくありません。

また、墓石は個人のものであっても、墓地は寺社や霊園などから借りている土地です。

気持ちよく使わせてもらうためにも、マナーには気を付けたいものです。

最低限、次の3点には配慮するようにしましょう。

お墓参りでのマナー

  • 墓地や霊園の規則を守る。
    開園時間やペット同伴の禁止などのルールが設けられていることもあります。
  • 他家の墓所に入らない
    小さな子どもが一緒の場合は、他家に立ち入ったり走り回ったりしないように注意しましょう。墓に植わっている樹木などの枝もはみ出さないのがマナーです。
    掃除のために入る必要があるときは、相手のお墓にも合掌して一礼するようにします。
  • 供え物で周囲を汚さないようにする。
    飲食物は持ち帰るのが基本です。ポピーやチューリップなどはかわいいのですが、花びらがバラバラと散り周囲を汚す可能性があり、花粉の多いユリは汚れないよう予め切り落とすなどの配慮も必要です。

宗教によるお墓参りの違い

同じ仏教でも宗派によって墓石に刻んだり唱えたりする題目が違うことがありますね。

神道やキリスト教など、宗教が違えばマナーだって異なることがあります

しかし、自分の宗派・宗派と違っても、

お墓参りでは故人の宗派に合わせるのがマナーです。

ここでは「神道」や「キリスト教」のお墓参りについて触れていきましょう。

神道の場合

神道では「死」は穢れたものとされるため、

神社ではなく霊園などに「奥津城(おくつき)」と呼ぶ神式の墓を設けるのが特徴です。

お参りは仏教と同様に「故人を供養し、先祖に感謝する」意味を持っていますから、

ぜひお墓参りの機会を持ちましょう。

特に定められた日はありませんが、仏教の法要にあたる霊祭や祥月命日のほか、

神社の“お朔日参り(おついたちまいり)”にならって月の初めの一日

お墓参りをする人もいます。

また、お盆やお彼岸は本来仏教の行事ですが、

神道でも同じ時期にお参りする地域もあります。

 
服装や掃除については仏教と同様に考えれば問題ありません。

しかし、気をつけたいのは供え物です。

神道では花ではなく「榊(さかき)」を供えるのが一般的で、

ろうそく、御神酒(または水)、塩、米も必要です。

また、線香の代わりに「玉串」を奉納しますが、

通常の墓参りの場合は用いないことが多いでしょう。

一般的な神道の作法を紹介しておきますね。

神道の作法
 

  1. 奥津城(墓)の掃除を行う。
    霊園などで掃除用具が借りられればそれを、無ければ家から持参してきれいにしましょう。
  2. ろうそくを灯す
  3. 榊や供え物を奉納する
    榊は花立に左右対になるように挿し、お供え物として米を中央に、右側に塩、左側に御神酒(または水)の順で供えます。
    最近は故人の好物も供える人が増えています。
  4. 礼拝する
    二礼二拍手一礼し、合掌します。
  5. 片づける
    榊以外の供え物やゴミは持ち帰りましょう。ろうそくの火は必ず消えたことを確認してくださいね。

キリスト教の場合

仏教や神道と違い、偶像を含め神以外を崇拝することを禁止しているキリスト教では、

故人をお参りするのではなく、生前の故人への恵みと、

こうして安らかに眠れていることへの感謝として神に祈りを捧げることが

墓参りに相当する行為と言えます。

このため、お墓参りに特に定められた日はありませんので、

お参りというよりは故人に会いに行く気持ちでお墓に行くとよいでしょう。

日本ではキリスト教徒の墓の多くは墓地・霊園などに置かれるのが一般的です。

なお、カトリックでは11月2日の「万霊節(死者の日)」に行われるミサも、

意味合い的にはお墓参りに近いものといえるかもしれません。

 
このような背景から、キリスト教におけるお墓参りの作法というものはありませんが、

仏教・神道と同じように墓所を清掃し、

花などを供えて祈ることが気持ちの表れといえるでしょう。

服装や掃除の方法は仏教と同様で問題ありませんが、持ち物は若干異なっています

まず、偶像崇拝禁止の観点から供え物は花のみで、

飲食物を供えることはあまりありません。

白い花(特にユリやカーネーションがおすすめ)が基本ですが、

菊は仏式のイメージが強いので避けた方が良いという意見もあります。

キリスト教式の墓石は様々で、中には花立がないものもありますから、

花束をそのまま置いても良いでしょう。

花を手向けたらお祈りをし、掃除の際に出たゴミなどは持ち帰るか、

ゴミ箱に捨てて帰りましょう。