お墓・墓石の種類、選び方とは?デザインや文字、石質について

お墓は故人の家であり、遺族が会いに行く場所にもなります。

新しく建てるなら故人や家風にあったものを選びたいですね。

しかし、お墓の石質やデザインは迷うほどに多様で

それを依頼する業者選びにも注意が必要です。

ここでは墓石を選ぶ際に気を付けたいことや、

デザイン・文字などについてわかりやすく解説しています。

お墓の構成

お墓は一体ではなく、次のように様々な部位で構成されています。

お墓を建立するにあたっては、最低限必要なものとそうでないものがあるので、

ニーズに合わせて選ぶようにしましょう。

ここでは典型的な和型のお墓について、その構成を見ていきましょう。

必要なもの

お墓になくてはならないものは次の8つです。

必要なもの

  • 墓石
  • 塔婆立て(とうばたて)
  • 水鉢(みずばち)
  • 花立て
  • 香炉・香立
  • 拝石(おがみいし・はいせき)
  • 外柵
  • カロート(納骨室)

それでは、1つずつ見ていきましょう。

墓石

正しくは「石塔」と呼ばれる墓石自体も、

典型的な和型のお墓の場合、

「竿石(さおいし)」「上台(うわだい・じょうだい)」

「中台(なかだい・ちゅうだい)」「下台(しただい)」

「芝台(しばだい)」の5部位から構成されています。

竿石は最上段にあり、開眼法要によって魂が込められる墓石の中心で、

“○○家之墓”“先祖代々之墓”などと刻まれている部分です。

その下の上台には家紋・家名や蓮華などが彫られます。

最下部の芝台はお墓の土台となっており、

後述するカロートの保護や香炉・花立ての置き台となりますが、

省略される場合は下台が最下部となります。

塔婆立て

仏教では故人や先祖を供養するために、

細長い板に梵字・戒名・経文・施主名などを書いた「塔婆(卒塔婆)」

お墓に立てます。

これを立てておくための台が「塔婆立て」で、墓石の背面や外柵に設置されます。

なお、塔婆を用いない浄土真宗では塔婆立ても必要ありません。

水鉢

お供えする水を入れておく部分です。

取り外せるものと墓石と一体になった切り出したものがありますが、

いずれも平たいことが多いです。

花立て

お供えする花を立てる備え付けの花挿しで、水鉢を挟むように一対でしつらえます。

墓石と一体型のものと、取り外しができるものがありますが、

細長く手入れをしにくい形状なので後者の方がおすすめです。

香炉・香立

線香を供える部分で、拝石の上に置かれます。

線香の供え方には宗派によって立てる場合と寝かす場合があり、

前者は「立置型」、後者は「くりぬき型」が適しています。

雨や墓石に水をかけても線香が消えないように、

屋根付きや奥行きがあるものなどが良いでしょう。

拝石

カロートの蓋を指す地域もありますが、

一般的にはお墓参りがしやすいように敷かれた墓石の手前の石板を指し、

この上でお参りをします。

外柵

欧米の墓地では広々とした芝生の上に墓石が並んでいますが、

日本では区画を示すための境界線や結界として「外柵」が必要なことが多いです。

外柵は石で作られ、土台の補強を担う目的もあり、

墓石を守るように巡らして入り口を設けます。

シンプルなものから豪華なものまで様々です。

カロート

「カロート」とは墓石の下のお骨を納めるスペースのことで、

地上・地下・半地下のタイプがあり、「死者を葬る棺」という意味があります。

地下・半地下の方がお墓全体の高さを低めにできるので、威圧感がありません。

骨壺ごと納める地域と、お骨を袋に入れたり撒いたりして土に還す地域があり、

後者ではカロート底部の全面または一部に土が露出した構造になっています。

カロートのサイズによって納められる骨壺の数が決まりますが、

前述のように納骨の形式も様々で、骨壺の大きさにも地域差があるため、

石材店に相談すると良いでしょう。

追加することがあるもの

お墓のデザインや故人・遺族の希望によっては、

次のものを追加で備え付けることがあります。

必要に応じて設置するもの

  • 墓誌
  • 灯籠
  • つくばい
  • 名刺受け
  • 物置台
  • 化粧砂利
  • 植木

これらの物は無かったとしても、お墓としてきちんと成り立つので問題はありません。

例えば、俗名・戒名・没年月日などを刻む「墓誌」は、墓石に直接刻めば良いですし、

参拝者用の「名刺受け」や手荷物を置く「物置台」などは、

あれば便利ですが供養とは関係のないものです。

「つくばい」は元来お参りの前に手を清める“手水鉢”で、

置き石に窪みをつけて水が溜まるようにしたもの、

「灯籠」灯火によって供養し、参拝者の目印にもなるように設置されていましたが、

今では墓地の入り口に手水場があり、照明や区画整理がされているため、

どちらも装飾品として置かれるようになっています

また、土が露出しているよりも「化粧砂利」を敷いた方が雑草が生えにくく

庭園風のイメージに仕上がりますし、「植木」は故人が好きという理由や

お墓のイメージを和らげる効果を狙って植えることもあります。

しかし、いずれも必需品ではないので、墓地の規約を確認した上で、

お墓全体のイメージや規模・予算に応じて設置すると良いでしょう。

 
ただし、永代供養墓の場合は多くの人を納骨することになるので、

墓石のスペースだけでは名を刻みきれなくなることが想定されるため、

墓誌を備えておいた方が良いかもしれません。

また、植木の種類によっては枝や根が発達し、隣の墓地に入り込んでしまう、

落ち葉で汚してしまうなどのトラブルに発展する可能性もあります。

時には、張り過ぎた根によって地面が隆起しお墓が傾くといった事態もありうるので、

木を選ぶときは石材店などに相談し、

自分たちで管理できるものを選ぶようにしましょう。

和型でないお墓の場合

和型以外の場合は墓石とカロートのほか、

花挿しなどお参りに必要なもの宗教的に設置しておいた方が良いものを選び、

石材店にお願いすると良いでしょう。

神道の墓石は竿石の上部4面を斜めに切って三角形にした

角兜巾(かくときん)型」という独特の形をしています。

また、香を用いないため香炉は不要ですが、

供物を供える「八足台(はっそくだい)」が必要です。

墓石の形と石質

最近ではいろいろなタイプのお墓が見られるようになりました。

ここでは墓石の形や石質の特性について触れていきましょう。

墓石の形

墓石の形は、

  • 伝統的かつ一般的な角柱の「和型
  • 横幅の広い「洋型
  • 自由に形を表現した「デザイン型

の3つに分けることができます。

既に触れたように和型は基本の形が決まっており

主に寺院墓地や比較的区画の小さい墓地でよく見られるタイプです。

これに対し、横長で石板タイプの墓石をメインにした洋型は装飾スペースが大きく、

モダンな印象になるため人気が高まっています。

さらに墓石自体を自由な形にした「デザイン型」は

故人の趣味やイメージをかたどることができるオーダーメイドの墓石です。

ゴルフボールや楽器、ハートや球体など様々にデザインできますが、

デザイン料や加工賃が加算されるため割高になり、

すべての石材店が受注しているわけではないので注意しましょう。

なお、デザイン型には

  • 個々の石材店が制作した既製品
  • 依頼主によるオーダーメイド品
     ・簡易オーダーメイド品:選択肢の中から組み合わせて発注するタイプ
     ・完全オーダーメイド品:すべてを新たなデザインで作り上げるタイプ

があります。

デザイン型は先祖代々の墓というよりも個人墓や夫婦墓の場合に選ばれることが多く、

記念碑的な意味を持つこともあります。

個人墓などのお墓のタイプについてはこちらの記事をご覧ください。
お墓の購入の流れとは?場所や時期、手続きについて

また、墓地によっては景観を整えるために墓石の形に規定がある所も少なくないので、

発注前に必ず確認するようにしましょう。

墓石の種類と石質

墓石は天然の石を加工したものです。

石はマグマが固まり結晶化したものですが、

その時の条件によりたくさんの種類の石が生成され、その特徴も様々です。

その中で墓石に適しているのは、

長期にわたって陽射しや風雨にさらされても崩れない耐久性の高さを持つ


「花崗岩(かこうがん)」
「閃緑岩(せんりょくがん)」
「斑レイ岩(はんれいがん)」
「安山岩(あんざんがん)」

などです。

代表的なものは花崗岩である「御影石」ですが、

硬さ(硬度)水の染み込みやすさ(吸水性)によって何百種類にも分けられています。

一般的に、硬度の高い(=硬い)石ほど研磨に時間がかかりますが耐久性に優れ、

吸水性の低い方が割れにくい傾向があります。

香川県・愛媛県・佐賀県・神奈川県・茨城県など国内に有名な石の産地がありますが、

主流は海外からの輸入品です。

中国からの輸入品が圧倒的に多いのですが、中国で産した石だけでなく、

インド・ノルウェー・ブラジルなどの石を

中国で加工し日本に送られてくる場合もあります。

産地によって色合いや質が異なり価格も様々ですが、

墓石の形状によっては加工に適さない石質もあるので、

石材店とよく相談して決めるようにしましょう。

 
また、デザイン型の墓石の場合、従来のような石を用いたものの他に

強化ガラスを使用したものもあります

墓石は耐久性を求められるため、強化タイプといえどガラスは適さないと言われますが、

前述の通り、デザイン型は代々受け継ぐ必要のない個人墓などに多いため、

問題視されない傾向があるようです。

業者の選び方や製作期間・費用について

お墓は石材店で購入し、

デザイン・加工・設置まで一括して行ってもらうのが一般的です。

墓地によっては提携している石材店があり、自由に選べないこともあります。

また、お墓の型に制限がある所もあるので、併せて確認しておくようにしましょう。

業者の選び方

石材店を自由に選べる場合は、次のような業者が良いでしょう。

石材店の選び方

  • あまり遠くの業者にしない
  • 実際に加工・設置する業者と直接話ができる
  • 業界団体に加盟している

石材店とはお墓は建てるときだけでなく、その後もお付き合いが続きます

例えば、新たにお墓に入る人ができたとき、墓石に名を刻み、骨壺を納めたり、

天災などで修理したりするときにも石材店の手が必要です。

費用があまり発生しない初回以降の作業では、手間がかかるだけで儲けが少ないので、

あまり遠くの業者だと対応が悪くなる…という話も少なくありません。

逆に、依頼した側も相談したり様子を見に行ったりするのが困難になるので、

できれば墓地から1時間以内の方が望ましいでしょう。

 
同じ理由で、先祖代々受け継ぐ墓を考えているなら、

インターネットなどで見られる下請けに丸投げするような方式の石材店は、

実際に施工する業者も場所も選べないのでおすすめできません。

墓石は一生ものの買い物ですから、

できればきちんと顔を合わせて打ち合わせできる業者にした方がよいです。

店舗や展示場に行けば色や材質の見本となる石やデザイン例が置いてあるので、

より明確なイメージを描くことができるでしょう。

加工の技術も石材店によって違いますから、

そこを見極めるためにも実物を見た方が良いと思います。

 
そして、その石材店が「一般社団法人日本石材産業協会」や

「一般社団法人全国優良石材店」などの加盟店かどうか確認することをおすすめします。

やはり業界団体に所属している石材店は、その道の情報にも通じています。

また、加盟店や業界団体が定める保証期間があるので、

万が一のときにも安心して任せられるお店と言えるでしょう。

加盟店は各団体HPから検索できます。

一般社団法人日本石材産業協会

一般社団法人全国優良石材店

ただし、保証の内容は業界団体やその石材店独自のものがあるので、

契約時にきちんと確認することが大切です。

もちろん、話をきちんと聞いて要望に沿ったものにしてくれる、

アフターサービスがしっかりしているなども信頼できるお店のポイントです。

製作期間と費用について

お墓の製作には、急ぎの場合で1ヵ月半、通常では3ヵ月ほどを要します。

死亡直後に依頼した場合、

既成の型であれば四十九日法要の納骨にギリギリ間に合うというところでしょう。

ただし、オーダーメイドや特殊加工の場合はもっと長い製作期間が必要ですから、

死後発注の場合は納骨を一周忌に行うなどの調整が必要です。

 
また、石材店に支払う費用の内訳は、一般的な墓石の場合、


墓石本体の価格 + 墓石加工費 = 全国平均120万~175万円

で、加工費には彫刻代、据付工事代、付属品が含まれることが多いです。

ただし、文字数や装飾が多い場合や、

デザイン料や特殊加工が必要になるデザイン型墓石の場合は

追加料金が発生するので注意しましょう。

一概には言えませんが、

完全オーダーメイドだと既成のデザイン墓石の3~4割増しになることが多いようです。

石材店の既成デザインであれば、一般的な墓石とさほど変わらないようですが、

こだわりがあればあるほど価格だけでなく

製作期間にも反映されることは言うまでもありません。

 
なお、これら以外にもお墓の建立には墓地の永代使用料や開眼供養のお布施など、

様々な費用がかかります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。
お墓の購入の流れとは?場所や時期、手続きについて

 
また、前述のように墓石本体の価格は種類により幅がありますが、

必ずしも高価なものが墓石として優れているわけではありません

希少性はなくても耐久性がある石の方が墓石として優れているともいえるのです。

実際のところ、墓石自体の価格には

材質よりも採掘や現地で加工する際の人件費が大きく影響しており、

質は同等でも海外産の方が安くなる傾向が見られます。

石質は価格で見極められないので、必ず石のスペックを確認するようにしましょう。

 
なお、生前にお墓を購入・建立した場合、税制面で得をするというものがあります。

例えば、親が亡くなってからお墓を購入した場合、

その費用は相続対象の控除とはなりません。

しかし、親が生前に購入・建立した場合、その費用のぶん両親の現金…

すなわち相続対象を減らすことができるので、節税になります

また、宅地や住居などと異なり、墓石は“祭祀財産”なので、

両親から受け継いでも相続税がかからないというメリットもあるのです。

ただし、ローン購入の場合、

支払いが終了していないと負債として相続することになりますので、

節税を考えるなら完済していることが条件であることを覚えておきましょう。

文字の刻み方

墓石のデザインも大切ですが、そこに刻まれる文字にも想いが込められています。

ここでは墓石の文字について触れていきましょう。

墓石に刻む文字

宗教によって異なりますが、墓石に刻む文字は以下の物が多いでしょう。

【 墓石の正面 】

  • ○○家之墓・○○家先祖代々之墓または名字や氏名など誰の墓かわかるもの
    縦書きで記す。和型で一般的に見られる表札のようなもの。
    神道では「○○家奥津城」となる。
    必須ではないが記さない場合は管理者に確認した方が良い。
  • 宗派のお題目
    和型で多く見られる。
    特に浄土宗では「南無阿弥陀仏」、日蓮宗では「南無妙法蓮華経」を刻む家が多い。
  • 家紋
    竿石ではなく上台に彫ることが多い。
    最近は減少傾向にある。
  • 好きな言葉
    スペースの広い洋型・デザイン型に多く見られ、“心”・“夢”などの好きな言葉や故人が作った詩などを刻む。
    文字の方向は縦・横・斜めなど様々。

【 墓石の側面・裏面 】

  • 故人の俗名・享年・没年月日・戒名など
    墓に入っている人を子孫へと伝えるもの。
    必要なものを選んで刻む。
    過去帳や墓誌に替える場合もある。
  • お墓を建立した人の名など

【 墓誌 】

  • 故人の俗名・享年・没年月日・戒名など
    永代供養墓などで墓に入る人数が多い場合や、墓石に刻みきれない場合など。
  • 座右の銘・辞世の句など
    和型などで墓石のスペースが限られている場合に、好きな言葉などを刻む。
  • ※ 墓誌はなくても良い

字体の種類

墓石の文字は型の上から砂を吹き付けて刻むのが一般的です。

字体は好みで選ぶことができますが、和型の場合は、


楷書体(かいしょたい)
行書体(ぎょうしょたい)
隷書体(れいしょたい)

の中から選ぶ方が無難です。

特に、「楷書体」は和型竿石の正面に刻む書体として一般的で、圧倒的に多いです。

これを崩した書体の行書体や、古代中国で用いられた横長の隷書体も人気があります。

また、墓地の規定や墓石のスペースに問題がなければ、

故人の文字を写し取ったり毛筆の字をかたどったりすることもできます。

 
なお、お墓を生前に購入し戒名などの名を入れる時は朱書きにするのが正式です。

つまり、赤い文字の人は“存命中であること”を示しているわけです。

かつては生前に戒名を授かる…すなわち仏門に入ることはめでたかったので、

その名残とされています。

亡くなったら石材店に依頼して朱を取ってもらいましょう。