不動産の相続手続き方法とは?相続登記や税金について

故人が長年済んでいた一軒家やマンション、所有していた土地などの不動産は

それ自体が金銭的に大きな価値を持つので当然相続の対象となりますので、

相続の際は不動産登記法に則って故人から相続人への名義変更手続き

することになります。

法律に基づいて手続きを行うことは銀行預金や車などの動産の相続と同じですが、

不動産は誰が所有者か、また、

その不動産の上のどのような権利関係が存在するかについて

国による厳格な管理がなされますので、求められる書類(添付書類)も他の相続では

要求されないようなものが求められたりします。

遺言書固定資産評価証明書などがその例ですが、

不動産は取引に使われることが多いので、

関わる人が混乱に陥ることがないよう、対策が取られていると認識してください。

手続きの際も書類不備・記載事項の誤りを理由に法務局が「否」の判断を下した場合、

容赦なく差し戻しとなり、想像以上の手間となることもあらかじめ

覚悟しておきましょう。

不動産の相続は想像以上に難しく、注意を払わなければならないことが多いので、

基本的には登記のプロである司法書士に相談することをおすすめしています。

それではまずは不動産の相続手続きの流れから説明します。

不動産の相続の流れ

不動産の相続とは、該当する故人の不動産の名義を相続人名義に変更することを意味し、

もっと具体的には、相続を理由とする所有権移転登記手続きをすることになります

相続手続きの大まかな流れは、相続人間で相続内容と方法を決定した後に

所有権移転登記申請に必要な書類をそろえ、法務局に提出する、の3つです。

ポイント

  • 相続人の協議→登記申請書類準備→法務局に提出

1 相続人を決定する

最初に不動産を誰に相続させるのか決めます。

相続人が一人だった場合は必要ありませんが、

相続人が複数いた場合は引き継ぐ人が決めてください

今後不動産を売却するなどして処分する場合、所有権の名義が故人名義のままだと

他人に売却することができません。抵当権などを設定することもできませんので

相続が発生した時点で相続人の内のどなたかの名義にしておくことをおすすめします。

他方、実は不動産は一つの土地や建物に複数の権利者ごとの持ち分を設定して

共有にすることができますが、これについては後で説明しますので、

そちらを参考にしてください。

遺産分割協議をする

不動産を誰が相続するか相続人間で決定後、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書の具体的な作成方法については

「死亡後の銀行の手続き、凍結や相続税について」を参考にしてください。

なお、遺産分割協議書内での不動産相続についての記載は以下のような文です。


相続人××△△は、以下の1の遺産を相続する。

1. 所在 港区麻布十番〇〇丁目
地番 〇〇番 
地目 宅地 
地積 ○○○平方メートル

上記例文にあるような情報はすべて

相続対象となっている不動産の登記簿(不動産登記事項証明書)にありますので、

きちんと法務局でより寄せた上でその通りに記載しましょう。

簡略化した書き方や誤った記載があると後々トラブルのもとになったり、

差し戻される原因になったりしますので注意してください

ポイント

  • 遺産分割協議書へは正確な情報を記載すること

一つの不動産を共有する場合

先ほども述べた通り、不動産は共有ができます

たとえば、一つの土地の所有権を三人の相続人に3分の1ずつ持たせる

(これを持ち分といいます)ことができますが、

将来この内一人が売却による処分を希望した際、

あとの二人の合意が得られなければ売却ができません

どうしても売却したければ共有物状態を解消する方法もありますが、

争いが長期化すると裁判所を通すことになり、大変手間がかかります。

不動産はできる限りそのときの経済状況や商機に合わせて有効活用した方が

結局は相続人間のためになりますので、こうした面からも、

単独での相続が理想的だと言えるでしょう。

それでも共有を望む場合は、

将来発生しうる問題をある程度予想した上で手続きをしてください。

ポイント

  • 不動産の共有には将来処分しづらいデメリットがあることを認識しておく

遺言、または遺贈がある場合

遺言による相続人の指定

遺言がある場合は基本的に遺言通りの相続となり、

遺言で指名された相続人は他の相続人の関与なく、

単独で所有権移転の登記ができることになります

遺言は家庭裁判所からの検認があるものでなければ有効ではないので、

この点は注意しましょう。遺言による相続に必要な書類の詳細は後に説明します。

遺言者に「遺贈する」の文言があった場合の注意

「相続」は法律が想定する関係(法定相続人)に遺産を引き継がせること、

「遺贈」はこれ以外の関係(知人や団体など)に遺産を遺贈する(贈る)ことですので、

意味が異なります。

遺言によっては遺産をのこす人物によって

この二つの言葉を使い分けていることがありますが、

相続と遺贈ではその後の扱いに違いが出ることを覚えておく必要があります。

たとえば、受遺者は土地を譲り受けたとしても、所有権移転登記をする際は

他の相続人と共同で行わなければなりません。相続人と受遺者が険悪な仲だった場合、

手続きはスムーズに進まないことが多いので、

遺贈するとの文言が遺言の中にあったときは違いを認識しておくことが大切です。

ポイント

  • 「相続」と「遺言」の違いを把握しておく
  • 「相続」と「遺言」ではその後の手続き方法が異なるので注意が必要

2 登記申請

次に必要書類を集めて所有権移転登記申請書を作成します。

所有権移転登記申請書は法務局ホームページ内の

こちら

のページからダウンロードが可能です。

このページには所有権移転登記の目的別に様式がわけられていますので、

相続、遺言、遺贈のそれぞれのケース合ったものをダウンロードしてください。

最寄りの法務局窓口でも取得できます。全国の法務局所在地についてはこちら

から検索できます。

以下は登記申請書以外のケース別必要書類です。

遺産分割協議による所有権移転登記の場合

メインである遺産分割協議書には相続人全員の署名と実印の押印が必要です。

必要書類

  • 登記申請書
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員分の印鑑証明書
  • 故人の死亡から出生までさかのぼる戸籍謄本
  • 故人の住民票の除票
  • 相続人全員分の戸籍謄本
  • 不動産を相続する相続人の住民票の写し
  • 固定資産評価証明書(相続対象の不動産の評価額が記載されたもの。市区町村役場で取得できます)

遺言による所有権移転登記の場合

申請の際に添付する遺言書は裁判所の検認手続き

経たものでなければなりません。

公正証書遺言(公証役場で公証人に作成してもらうもの)

であればそのままで大丈夫です。

必要書類

  • 登記申請書
  • 遺言書
  • 故人の死亡から出生までさかのぼる戸籍謄本
  • 故人の住民票の除票
  • 不動産を相続する相続人の住民票の写し
  • 不動産を相続する相続人の戸籍謄本
  • 固定資産評価証明書

遺贈による所有権移転登記の場合

遺贈の場合は相続ではなく、遺贈として所有権移転登記をしますので、

登記申請書でも原因を「遺贈」としてください。

(申請書をダウンロードする際も「遺贈」の所有権移転登記申請書を選択してください)

申請は他の相続人と共同で行うことになりますのでこの点を覚えておきましょう。

以下は遺言執行者がいない場合の必要書類です。

必要書類

  • 登記申請書
  • 遺言書
  • 相続人全員分の印鑑証明書
  • 故人の死亡から出生までさかのぼる戸籍謄本
  • 相続人全員分の戸籍謄本
  • 受遺者の住民票の写し
  • 該当不動産の登記済権利証
  • 固定資産評価証明書

所有権移転登記にかかる費用

登記するには登録免許税とよばれる費用がかかりますが、

相続・遺贈ともに不動産の固定資産税評価額の0.4%となっています

3 登記識別情報を受け取る

登記申請後に登記が完了すると、

b登記識別情報とよばれる12桁の英数字が記載されたものが送られてきます。

新たに登記名義人となった登記権利者に対して

登記完了を通知する役割を果たすと同時に従来の登記済証に代わりになるものです。

この12桁の英数字を知っていることで

その不動産の権利者と見なされることになりますので、

12桁の英数字を他人に知られないように厳重管理してください

登記申請の期限

実は登記には「~までにしなければならない」というような期限はありません

しかし、不動産における権利を主張する場合は登記があることが前提ですので、

相続人や受遺者は早めに登記をしましょう。

ポイント

  • 不動産登記には期限がないが、なるべく早めにした方がよい

 

不動産の登記申請は相続人などの登記の関係者のみで手続きを行うことができますが、

通常は登記の専門家である司法書士に依頼することが多いです。

専門家に頼らずに行う場合は書類や記載内容にミスがないよう、

細心の注意払わなければなりません。

また、登記申請はインターネットでも申請可能ですが、

上のように専門家に依頼した方が無難であることは認識しておいてください。