故人の所得税の申請は必要?やり方は?

人が亡くなった後の手続きは生活関連から相続関連まで非常に多岐にわたり、

中には複雑・煩雑を極めるものがありますが、税金関連の手続きも忘れてはなりません。

特に税金となるとつい相続税に目が行きがちできすが、

所得税も故人の生前の収入状況によっては申告し、納税する義務が生じます

故人の所得税の申告は場合によっては不要なこともありますので、

遺族が面倒がらずにきちんと故人の全体的な経済状況を把握し、

最後まで法に則った手続きを行いましょう。

そもそも所得税とは?

所得税とは収入から必要経費等を差し引いた所得にかかる、

国による税金のことを指します

所得税は給与をはじめとする経済的利益に対してかかるものなので、

特別な要件に該当しない限り納めるのが義務であり、故人の収入も例外ではありません

ポイント

  • 故人の所得についても所得税を納税義務が発生する場合がある

故人の確定申告が必要なケースとは?

所得税は収入がある人であれば誰でも納めなければいけない税金で、

確定申告によって届け出を出します。

自営業やフリーランスなどの就労形態の場合は自ら確定申告をしますが、

会社員の場合は、所得税は給与支払いをする組織(会社)が労働者の給与から所得税を差し引いて、

労働者の代わりに税金を払ってくれます。

 

当然故人が会社員の場合は、

基本的に会社による源泉徴収で所得税を納付することになりますが、

場合によっては故人の確定申告が必要になることがあります。

人が亡くなると労働自体がなくなるので確定申告は必要ないように思えますが、

亡くなった時期と生前の就労・所得状況によっては確定申告をする必要があるのです

これを、準確定申告といいます。

ポイント

  • 故人に所得についても状況によっては確定申告をして所得税を納めなければならい
  • 故人の生前の所得を申告する手続きを「準確定申告」という

準確定申告とは

準確定申告とは、相続人が年度中に亡くなった故人の所得を申告し、

納税する手続きです

通常の確定申告は1月1日~12月31までに発生した所得を、

翌年の2月16日~3月15日(その年によって期間がずれることがある)までに申告しますが、

準確定申告は1月1日~亡くなった日までの所得を申告する必要があります。

たとえば故人が2020年6月1日に亡くなっていれば、

2021年2月16日~3月15日までに準確定申告を提出・納税することになります

また、3月15日(確定申告の期限日)までに亡くなり、

前年度分の申告をしていなかった故人の所得についても

同様に申告しなければなりません。

準確定申告が必要な場合

ただ前述の通り、準確定申告についてもあくまで「必要な場合」に限りますので、

準確定申告が必要か否かはケースによります。

必要なケースは以下のようなものがあります。

準確定申告が必要なケース

  • 会社等からの給与所得が20万円を超えていた
  • 2カ所以上の複数の会社から得た所得があった
  • 死亡した年の給与が2000万円を超えていた
  • 生命保険や退職金を受け取っていた
  • 公的年金による収入が年間で400万円を超えていた
  • 家賃収入など不動産所得があった
  • 自営業者については所得が38万円をこえていた場合

上のようなケースに該当する場合、

故人の所得であっても準確定申告をする必要がでてきます。

要するに、雇用先からの源泉徴収だけでは把握しきれない所得や利益、

または税金の払いすぎの可能性を確認するために確定申告が必要となる

と言えるでしょう。

故人が比較的大きな規模の事業を営んでいた、

また会社員であっても複数の副業をしていた場合などは

所得の計算が複雑になりますので、税理士に相談してみてもよいでしょう。

ポイント

  • 準確定申告の申告期限は確定申告の期限と同じ
  • 準確定申告が必要なケースは通常の確定申告とほぼ同じ
  • 準確定申告が不要のケースがあるので、故人の所得状況をきちんと把握することが大切

準確定申告の方法

まず、準確定申告の申告は相続人、

または遺言書のよる受遺者が行うことを認識しておきましょう

故人の生前のお金の流れを整理するのは手間がかかりますが、

準確定申告の申告・納税期間は相続が始まったことを知った日の翌日から4カ月以内

と時間的余裕があるわけではありませんので、葬儀が終了次第、

徐々に準備を進めることが理想です。

準確定申告をする人

準確定申告は故人の相続人、遺言書による受遺者がこれを行います。

申告をする際、相続人の相続分を記入しなければなりませんので

相続人間で相続分について前もって話し合っておく必要があります。

ポイント

  • 申告するのは相続人、または受遺者。相続人間では相続分をあらかじめ決めておく必要がある

書類準備

申告に必要な以下の書類を準備しましょう。

準備する書類

  • 確定申告書第1・2表、付表(どちらも最寄りの税務署窓口、もしくは国税庁ホームページのこちら付表についてはこちらから)
  • 源泉徴収票などの所得を証明する書類、各種控除を受けるための各種証明書
  • 提出する人の本人確認書類(マイナンバーカート、運転免許証、パスポート、保険証など)※相続人が複数いる場合は全員分の本人確認書類が必要

提出

提出は税務署に直接提出しますが、郵送でも可能です。

その場合には申告書の控えをもらうための切手貼付済返送用封筒を同封します。

ポイント

  • 申告書の控えは必ずもらうこと

申告と納税の期限

前述の通り、相続が開始されたことを知った翌日から4カ月以内に提出・納税します。

申告と納税の期限は同じですので、申告書を作成後に自分で計算した税金を支払うことで

はじめて準確定申告の手続きが終了することになります

時間があまりありませんので、相続人間、または受遺者と協力して

円滑に申告準備をしていただきたいものです。

ポイント

  • 提出期限は相続開始を知った日の翌日から4カ月以内
  • 申告と納税はワンセットで行うものだと認識しておく

控除となるもの

通常の確定申告にも控除できるものがあるのと同様に、

準確定申告にも控除の対象となるものがあります

以下は控除対象一覧です。故人が生前に自己の財産処分の一環として

大きな額をどこかの団体に寄付していた場合などは控除を申請しましょう。

控除には様々なものがありますので、

それぞれを合計すれば予想以上に課税額が減額される可能性があります

控除となるものの種類

  • 雑損控除:災害や盗難、横領などで損害を受けた場合にその分を所得から差し引きます。
  • 医療費控除:故人、または故人の生計で扶養していた親族の医療費が一年間で10万円以上である場合にはこれも控除の対象となります。
  • 社会保険料控除:故人、または故人の生計で扶養していた親族に支払った各種社会保険料は控除の対象となります。
  • 小規模企業共済等掛金控除:中小企業基盤整備機構との共済契約の掛金、またはiDeCoなどの個人型年金、心身障害者扶養共済制度の掛金も控除対象となります。
  • 生命保険控除:生命保険を支払っていた場合は控除対象となりますが、額は年間の生命保険料によって異なります。
  • 地震保険料控除:地震保険の保険料を支払っていた場合は5万円の控除を受けることができます。
  • 寄付金控除:国や地方公共団体、各種公益団体、、認定NPO、政党・政治資金団体など公益性の高い団体への寄付も控除対象です。(※)宗教法人への寄付は控除の対象とならないので注意してください。
  • 寡婦・寡夫控除:配偶者と死別・離婚した人が対象で、通常27万円の控除を受けることができます。
  • 障害者控除:故人、もしくは故人が扶養する親族に障害者がいた場合は、障害者一人につき基本27万円、特別障害者に該当する場合には40万円が控除されます。
  • 配偶者控除:配偶者がいる場合には70歳未満で38万円、70歳以上で48万円の控除が受けられます。
  • 扶養控除:扶養していた16歳以上の親族の年間所得が38万円以下の場合に控除が受けられます。
  • 基礎控除:納税者全員が38万円の基礎控除を受けることができます。

故人の所得から以上の合計を差し引いた額に所得税が課税されることになります。

寄付控除や地震保険料控除、医療費控除、生命保険控除などを申請する際は

支払ったことを証明する証明書や領収書が申請の際に必要になりますので

大切に保管してください

控除申請に必要な証明書等添付書類の詳細についてはこちらから確認できます。

ポイント

  • 控除一覧の中から申請可能なものを探し、申請することは節税になる
  • 控除申請に必要な証明書や領収書は失くさないように保管しておくこと

計算が面倒になりますが、こうした控除は納税者にしてみればありがたい制度ですので、

該当するものがあれば申請しましょう。

準確定申告をしなかった場合

期限までに申告と納税をしなかった場合、

たとえ期日を過ぎた後で実行した場合でも

無申告加算税とよばれる税金をかけられてしまいます。

また、その上に納税が遅れた分の延滞税もかけられてしまうので、

準確定申告は忘れず、そして遅れることがないようにしてください。

ポイント

  • 準確定申告・納税が遅れるとペナルティーとしての税金が課税されるので注意

 

所得税は所得がある限り納税しなければならないものであり、

故人の生前の所得も所得税の対象となりますが、

葬儀前後の慌ただしさで後回しになりがちです。

また、人によっては準確定申告の存在自体を知らなかった方もいるでしょう。

税に関する制度は複雑ですので、ペナルティーで課税されてしまう事態を避けたい方は、

早めに税理士に相談した方が賢明かもしれません。

この際ですので、故人の生前の所得にも税金がかかることは

きちんと覚えておきましょう。