生命保険の受け取り手続き、必要書類や税金について

事故や病気など、私たちの生活には実に様々なリスクが潜んでいるものですが、

そのリスクには人が死亡する、ということも当然含まれています。

生命保険(死亡保険)はこのような事態に備え、被保険者の死後に配偶者や子などが

路頭に迷うことがないようにするためのリスクヘッジとなるものですが、

人の死亡にかかる金融商品である以上、

それなりの手続きや保険会社のよる審査があるので、万が一に備えて

保険金請求の方法と流れを学習しておくことは大切なことです。

また、保険金を受け取ることができた場合、

その額によっては相続税などの税金についても手続きが必要になるので、

これを機に税制についても理解しておきましょう。

生命保険

生命保険とは

生命保険(死亡保険)とは特定の人物の死亡による経済的損失・生活の不安定を

保険金で補助する金融商品のことをいいます

生命保険の当事者となるのは保険料を支払う「契約者」

保険がかけられている「被保険者」保険金を受け取ることができる「保険金受取人」

の三者が一般的です。

たとえばある家族の世帯主である父が契約者、そして保険をかけているのも父本人、

そして万が一父が死亡した場合は妻を受取人とする、といった例が挙げられます。

就職や結婚を機に生命保険に加入する人が多いのは、

このような生活保障の役割が大きい金融商品だからでしょう。

生命保険のメリット

人の死亡を契機とした経済的不安定回避の代表的な手段は遺族に残す貯金ですが、

死は誰も予期できないので目標とする貯金額に達しないこともあり、

残された家族に対する生活保障としては十分ではありません。

一方、生命保険であれば保険料の支払い期間に関係なく、

条件を満たせば契約した保険金が支払われますので、

予期しない「万が一」への備えとして適していると言えます

それでは以上をふまえた上で、次は保険金の受け取り方について見ていきましょう。

保険金の受け取り方法

生命保険の保険金支払いは相続人等が保険会社に契約者の死亡を通知し、

保険金を請求することではじめて実行されます

保険会社が契約者の死亡を確認・連絡することはありませんので、

故人が生命保険に加入していた場合、遺族はまず、

保険会社に問い合わせることを忘れないでください。

保険金受け取りの流れ

故人(契約者)が加入している保険会社に連絡をするところから手続きは始まります。

故人が生命保険に加入しているかどうか不明な場合は、

たんすや引き出しの中に保険証券があるかを確認してください。

また、保険会社からの故人宛てに送られた郵便物を確認することも有効な手段です。

1 保険会社へ問い合わせる

生命保険の存在を確認した後、保険会社へ連絡します。

その際に契約内容受取人が誰になっているのか、

請求に必要な書類や以降の手続きについても確認してください。

2 書類の準備

請求に必要な書類は保険会社によって多少の違いはありますが、

概ね以下の書類は共通して要求されるようです。

必要書類

  • 生命保険金請求書(電話で保険会社へ連絡して取り寄せる。または保険会社によってはホームページ内「保険金の請求」ページからオンラインで取り寄せ or ダウンロードも可能)
  • 保険証券
  • 死亡診断書
  • 故人(保険がかけられている人)の住民票
  • 受取人の戸籍謄本
  • 受取人の印鑑証明

3 提出

上記の書類とそろえた後、保険会社に提出します。

郵送で送るケースが多いようですが、ネットライフ生命やアフラックなど、

一部の保険会社ではオンラインで書類受付をしているところもありますので

ホームページを確認してみましょう。諸事情で提出を急ぐ場合には便利です。

4 保険会社の審査・保険金の受け取り

必要書類を提出した後、

保険会社は保険金を支払いの条件がそろっているか否かの審査をします。

無事審査を通過すれば一週間前後で受取人に保険金が支払われます

保険金は審査で大きな問題がなければ比較的早く支払われますので、

経済的な不安がある遺族にとって大きな助けとなることは間違いありません。

保険金の受け取りに他の相続人の関与は必要か

相続の場合は他の相続人の関与が必要となることがありますが、

保険金の受け取りについては指定された受取人が単独で請求手続きができます。

分割協議や合意などは一切必要ありません

ポイント

  • 生命保険金は遺族や受取人が自ら問い合わせしなければ、手続き自体が開始されないことに注意
  • 保険金の請求手続きは指定された受取人が単独で行うことができる

受取人が先に死亡している場合

状況によっては、指定された受取人がすでに死亡しているケースがありますが、

この場合は受取人の相続人が受け取ることになります

たとえば父親が自分に対して保険をかけ、妻を受取人に指定していたにもかかわらず

その妻が先に亡くなっていた場合は、夫婦の間の子が保険金を受け取ります。

ポイント

  • 受取人が先に死亡していた場合は、受取人の相続人が保険金を受け取ることになる

受け取り人が複数いる場合の受け取り方

受取人が複数指定されている場合

契約内容によっては受取人が複数(子ども3人全員が受取人に指定されている場合など)

指定されているケースがあります。このような場合、

保険会社は受取人の内の一人を代表者として決めるよう伝えてくることが多いので

その際は受取人間で協議して受け取り代表者を決めてください

受取人が複数いる場合の受け取りの流れ

受取人間で協議、代表者を決める
       ↓
代表者以外の受取人はその協議に合意する旨を書面に記載、同時に署名・印を押す。
       ↓
代表者への振込みが確認された後、代表者は協議で決めた額を他の受取人へ振り込む

代表者を決定する書面には印鑑証明書の添付が必要ですので、

こちらも忘れずに用意してください。

トラブルを防ぐ方法

受取人を複数指定することの背景には相続人間で不平等が生じないようしたいなど、

契約者の思いが込められている場合がありますが、

誰を代表者とするかでトラブルが発生する可能性があります。

このような事態を避けるには受取人を複数にせず、それぞれ個別に契約

するという方法も得策です

たとえば子ども3人にそれぞれ保険金を受け取ってほしいと思う場合、

一人ひとり3000万円の生命保険を個別に契約し、一人を受取人にするなどです

これから生命保険に加入しようと考えている方は

ぜひこういった方法もあることを覚えておくとよいでしょう。

ポイント

  • 受取人複数指定するとトラブルが発生する可能性があることを認識しておく
  • トラブル回避のため、複数指定せず、個別に契約するのも手

保険金受取にかかる税金について

生命保険による保険金は誰が受け取ることになっても

相続税・所得税・贈与税のいずれかが課税されることになります。

このうちどの税金が課せられるかは生命保険の当事者(契約者・被保険者・受取人)が

どのような構成になっているかによって違ってきますので

以下の場合分けを参考にしてください。

相続税がかかる場合

相続税がかかる場合には以下のようなケースです。

相続税がかかる例

契約者(保険料を支払う人):父
被保険者(保険がかけられている人):父
受取人:子

上のように、親が子の生活維持を目的をしていることが明らかである場合は

相続税が課税されますが、残された家族にとって酷な結果とならないよう、

相続税法では生命保険への課税に非課税枠を設けています

下のその非課税枠の算出方法です。

非課税枠の算出方法

  • 生命保険の非課税枠=500万円×法定相続人の数

たとえば、5000万円の保険金がかかっていた契約で法定相続人が二人の場合、

1000万円分が非課税となり、4000万円が相続税の課税対象となります

贈与税がかかる場合

贈与税がかかる例

契約者(保険料を支払う人):父
被保険者(保険がかけられている人):配偶者
受取人:子

上のように契約者と被保険者、そして受取人が三者すべて異なる場合は

贈与税かかけられますが、保険金のうち、基礎控除額110万円を差し引いた額が

実際の贈与税課税額となりますので、これを機に覚えておきましょう。

ポイント

  • 生命保険金についての贈与税課税金額=生命保険金-基礎控除額110万円

所得税がかかる場合

所得税がかかる例

契約者(保険料を支払う人):父
被保険者(保険がかけられている人):配偶者
受取人:父

上のように契約者と受取人が同じ場合は所得税が課税されますが、

保険金は一時所得となり、以下の式に算出された額が課税対象となります。

生命保険金についての所得税課税金額

(保険金-支払い済み保険料-50万円)÷2

以上の相続税・所得税・贈与税のうち、所得税と贈与税がかかる生命保険金については

確定申告での申告が必要になるので、忘れずに記入しましょう。

生命保険金にまつわる申告での注意

相続税として申告する場合は相続税申告書の第9表(生命保険などの明細書)

に受け取った保険金の額を記入後、第11表(相続税がかかる財産の明細書)

他の相続税がかかる財産と一緒に明細を記入してください。

生命保険金についてはこの両方の記載が必要になりますのでセットで覚えておきます。

また、所得税と贈与税がかかる生命保険金については

確定申告での申告が必要になるので、忘れずに記入しましょう。

ポイント

  • 受け取った生命保険金についての確定申告・相続税申告は忘れず行うように

 

生命保険は高額な保険金がかけられていることが多い割に

手続き自体はさほど難しいものではなく、さらには支払いまで時間がかからないので、

遺族への生活保障としては大変優れた金融商品です。

ただし、契約の仕方や保険金を受け取った後の手続きいかんによっては

予想していなかったトラブルが発生してしまいます。

故人が生命保険に託した気持ちを無駄にしないためにも、

これから生命保険に加入する方、そしてすでに加入済みの方も

家族と保険の契約内容と取り扱いについてよく話し合っておくことをおすすめします。