仏式の通夜の流れとは?時期や準備、会食について

大切な家族を失った悲しみも癒えぬうちに、

次から次へと決めなければならないことが押し寄せてくるのが弔事です。

中でも急ぎ進行させなければならないのが「通夜」と「葬儀・告別式」。

ここでは最も早い段階で行われる儀式「通夜」について、

準備を行う時期や内容など、流れに沿って詳しく解説していきます。

「葬儀・告別式」についてはこちらをご覧ください。
★★リンク №26「仏式の葬儀・告別式の流れとは」

「通夜」と「仮通夜」とは

「通夜」とは遺族や親交のあった人々が葬儀・告別式の前夜に集まって、

故人の冥福を祈る儀式です。

その名の通り、もともとは一晩中灯明と線香を絶やさずに、故人を見守るものでした。

これには諸説ありますが、昔は死亡の診断が難しかったため、

一晩かけて確認していたのだとも言われています。

しかし、医学の発展もあって現在では儀式的なものとなり、

死亡当日の夜に遺族を中心に行われる「仮通夜」と、

その翌日などに友人や会社関係者などを迎えて行う「本通夜」

数時間行われるのが一般的です。

「仮通夜」も儀式の一つなので様々な準備はありますが、

故人とともに過ごすことが目的なので、読経を含め特に何かを行うわけではありません。

しかし、実際は仮通夜を行いながら

翌日以降の本通夜や葬儀・告別式の準備をするケースが多いのではないかと思います。

ゆっくりと悲しんでいられないのも辛いものですが、

この気ぜわしさが悲しみを忘れさせてくれることもあります。

故人だけでなく、残された人々のものでもあるわけですね。

通夜の流れについては別項で詳しくお伝えします。

通夜前の準備

故人を看取ったばかりの悲しみの中にあっても、通夜へ向けての準備を始めましょう。

現在ではほとんどの人が病院で亡くなりますが、病院では遺体を預かれないので、

まず遺体を引き取り、仮通夜を行う場所まで寝台車で搬送しなければなりません

病院は葬儀社と提携していることが多いですから、そこに頼むか自分で探すなどして、

葬儀社に遺体の搬送を行ってもらいましょう

ただし、遺体の搬送を依頼した葬儀社に

通夜以降の葬儀を取り仕切ってもらう必要はありませんので、

葬儀に関しては見積もりをとるなどして落ち着いて葬儀社を決定してくださいね。

葬儀社には必ず葬儀のイメージと規模を伝え、

故人や遺族にあった式を行ってくれるところを選ぶようにしましょう。

葬儀社が決まると、故人や遺族の意向を聞きながら通夜の準備を進めてくれます

仏式で行う場合の主な準備は次の通りです。

遺体の安置と枕飾り

多くの場合、遺体の安置および仮通夜は故人の自宅で行われます。

病院などへ遺体を引き取りに行っている間に、

身内の誰かに部屋の用意(片付け、布団の準備など)をしてもらうと良いでしょう。

弔問客が訪れるとしてもごく限られた人たちだけなので、

遺体を安置できる広さと空調のある部屋ならば問題ありませんが、

難しい場合は葬祭会館や火葬場などに併設される死体安置所を借りることになります。

仏壇がある家ならば、その部屋に安置する方が良いでしょう。

遺体の安置

遺体を搬送する前に、病院であれば看護士の手によって

清拭(遺体をアルコールで拭く)などの処置を行うのが一般的で、

死に化粧をしてくれるケースもあります。

その後、葬儀社の寝台車などで遺体が運ばれてきますので、

到着したら頭が北側(北枕)になるようにして布団に安置しましょう。

このとき、遺体が温まらないように布団は薄いものを使用し、

掛布団は上下逆さまに掛けるのが一般的です。

シーツやカバー類はできれば白で、新品もしくはきれいなものを掛けておきます。

遺体を安置したら顔に白い布をかぶせ、両手首に数珠を掛けて胸で合掌させます。

掛け布団をかけ、その上に「守り刀」として魔除けの小刀や包丁を置きますが、

浄土真宗では行いません。

守り刀を乗せる前に、紋服を上下逆さまに掛ける風習もありますが、

現在では省略することが多いようです。

枕飾り

遺体を安置したら、「枕飾り」をします。

枕飾りとは、遺体の枕元に白木の台や机を設置し、

白い布をかけて香炉・燭台・花立てを置き、

さらに鈴(りん)・一膳飯(枕飯)・水・枕団子などを飾ったものです。

そして、一膳飯に箸を立て、花立てに樒(しきみ)を1本、

香炉には線香を1本挿し、燭台にろうそくを立てて火を灯します。

故人を供養する一方で、

遺族や訃報を知って駆け付けた弔問客が拝礼するための

簡易的な祭壇として用意されるのが枕飾りというわけです。

また、僧侶を読んで読経(枕づとめ)をしてもらうときにも用います。

ここで大切なのは、「不断香」といって、

ろうそくの火と線香の煙を絶やさないということです。

この理由には諸説ありますが、火はこの世とあの世を結ぶもの、

線香の煙はあの世への道しるべと言われています。

線香を1本しか立てないのも、

一本道にして故人が迷わないようにということだそうですよ。

このような宗教上の意味合いのほか、火を絶やさないことで獣が寄り付くのを防ぐ、

線香の香りで遺体の腐臭を消す、といった現実的な目的もあったようです。

このため、昔は故人のそばで遺族が交代しながら“寝ずの番”をしたものですが、

現在では防火の観点から電気タイプを用いるなどして、風習は薄れつつあります。

枕飾りの用具一式は自分で揃えると比較的安く揃えられますが、

急で時間がないこともあり、葬儀社から購入する人が多いです。

用具一式にはグレードがありますが、一般的には1~3万円で用意できるでしょう。

ただし、葬儀費用の中に組み込まれている場合とオプションの場合がありますから、

確認しておくことをおすすめします。

喪主と日程の決め方

一段落したら、葬儀社や親族を交え、喪主と今後の日程を決めましょう。

喪主とは通夜・葬儀・告別式などの儀式を中心となって執り行い、

遺族を代表して弔問を受ける人のことです。

故人が遺言で喪主を決めている場合もありますが、

一般的には故人との縁が最も深い人が務めますので、優先順位は次のようになります。

喪主の優先順位

(故人の遺言 → ) 配偶者 → 子ども(男性) → 子ども(女性)

喪主に続いて日程を決めていきます。

このとき、必ず確認しなければならないのは次の2点です。

日程決めの確認事項

  • 火葬場や斎場の空き状況
  • 僧侶や寺院の都合

特に都心部は火葬場が混み合っていることが多いので、

火葬の予約を取ってから葬儀の日程決めをします。

何日も待たされる場合には遺体を保管するための処置が必要になることもあるので、

その際は葬儀社に相談しましょう。

一般的には、


亡くなった当日 : 仮通夜(身内のみ)

翌日 : 本通夜(弔問客を迎える)

翌々日 : 葬儀・告別式(弔問客を迎える)と火葬
      (続けて初七日法要をすることもあり)

が多いです。

親族が遠方にいる場合には、到着に要する時間を考慮しなければなりませんね。

最近では「直葬」といって、いわゆる“葬式”を行わずに火葬するケースも見られます。

ただし、死後24時間経過しないと法律的に火葬・埋葬はできないことになっているので、

その時間は安置する必要があります。

直葬など葬儀のスタイルについてはこちらの記事をご覧ください。
葬儀の形式、費用は?一般葬や家族葬、密葬など

また、日本では暦にある六曜の「友引」を気にして、

“故人が友をあの世へと招くから縁起が悪い”と敬遠する人も多いようです。

遺族が気にしなくても参列者が不快に思う可能性があり、

火葬場の休業日になっていることもあるので、避けた方が無難といえるでしょう。

遺族の服装

亡くなった当日の仮通夜は落ち着いたものであれば平服で問題ありませんが、

皮革製品やアニマルプリントなどは殺生を連想させるので避けましょう。

一方、弔問客を迎える本通夜では遺族は喪服を着用するのが基本です。

喪主を除く遺族は、男女ともに洋装の略式喪服であるブラックスーツが一般的です。

小物類もこれに合わせ、黒くて金属や飾りのないものを選びましょう。

なお、喪主は正式喪服を着用するのがマナーで、和装であれば紋付きの黒の着物・袴、

洋装であれば男性は通夜ではブラックスーツ、告別式ではモーニングコート、

女性はどちらも黒無地のワンピースやフォーマルスーツとなります。

喪主の服装についてはこちらの記事で更に詳しく触れています。

喪主の挨拶や服装について注意すべきこと

実際の葬儀では喪主の場合、男性は洋装、女性は和装の方が多い傾向にありますが、

和装と洋装に格の差はないと言われています。

喪服が用意できない場合は、葬儀社からレンタルすることもできますよ。

服装や小物については別の記事で詳しく触れていますので、ご覧ください。

葬儀や通夜、告別式のマナーについて

遺影

通夜などの会場で祭壇に飾られる故人の顔写真「遺影」も用意しましょう。

写真はネガ・データのほかプリントされたものでも問題ありませんが、

選ぶときのポイントは次の通りです。

遺影選びのポイント

  • できるだけ最近撮影したもの
  • 正面を向いているもの
  • 顔がはっきりと映っているもの
  • 自然な表情のもの

昔は白黒写真にしていましたが、最近ではカラーが主流です。

遺影が決まったら、故人と一緒に写っている人や背景を消し、

大きく引き伸ばすなどの処理が必要ですので、早めに葬儀社に渡すようにしましょう。

会葬礼状と通夜返礼品

「会葬礼状」とは参列してくれた人への感謝を表す礼状です。

本来は葬儀・告別式のあとに弔問客に渡すものですが、

最近では仕事の後でも参列できる通夜に来る人も多いため、

通夜でも手渡すようになっています。

さらに、弔電・供花などを送ってくれた人にも渡します。

例文は葬儀社に用意されているので、それを用いるのが一般的です。

 
一方、「通夜返礼品」は通夜後の簡単な食事「通夜振る舞い」に

出席できなかった人に渡すものです。

しかし、近年では場所の確保が難しく、通夜振る舞いが簡易化する傾向があるため、

出欠に関わらず返礼品を渡すことが一般的になっています。

返礼品の定番はお茶・砂糖・お酒でしたが、

最近はハンカチ・ボールペン・ギフトカードなど様々です。

 
弔問客の人数を予め把握することはできませんが、

会葬礼状も返礼品も不足することのないように葬儀社に手配してもらいましょう。

可能であれば自分で作成・用意しても構いませんが、

通夜前には全て用意しておかなければならないので、気をつけましょう。

なお、こちらの記事で更に詳しく解説していますので、ご覧くださいね。

葬儀・法事の返礼品、香典返しのマナーや相場、渡し方とは?

通夜の席次

通夜の席次の基本は、祭壇に最も近いところに僧侶、

祭壇に向かって右側に遺族左側に友人・知人となるようにし、

故人との関係が深い人ほど前列中央寄りになるようにします。

そして、右・左それぞれの最前列・中央寄りに喪主と世話役代表が座ります。

こちらの記事でも席次について解説していますので、併せてご覧ください。

通夜・葬儀・告別式・法事の席順のマナーとは?

大切なのは、席次の順番で焼香も行われるという点です。

友人・知人の中には社会的地位の高い人がいることもあり、

このような人には遺族の次に焼香してもらうのがマナーですから、

前列中央寄りに座ってもらうように注意しましょう。

納棺と死に装束

本通夜が行われる前に、遺体を棺に納める儀式が「納棺」です。

かつては死に装束(白の経帷子、手甲・脚絆、白足袋など)に着替えさせたものですが、

現在では故人や遺族の思い入れのある服を着せ、死に装束は納棺の際に遺体に掛けたり、

そばに置いたりするなど簡略化されるケースが多いようです。

遺体の死後硬直などがあるため、納棺は葬儀社の手によって行われますが、

遺族も手を添えるなどして手伝うと故人への供養になるでしょう。

遺体の周囲には花を飾り、故人の愛用品を入れてあげましょう

ただし、棺はこのまま火葬することが多いので、

金属製のもの・燃えにくいものは入れないでください。

納棺が済んだら棺にフタをかぶせますが、

この時点では釘打ちは行わないので注意しましょう。

その他

これらの事柄の他にも

・僧侶の手配と戒名を頂く
戒名(法名・法号)の付け方、位や例、料金について

・死亡届・火葬許可申請書などの諸手続きを行う
死亡届・火葬・埋葬許可証の書き方、時期や届け出先について

・葬儀の形式、規模、場所を決める
葬儀の形式、費用は?一般葬や家族葬、密葬など

・世話役(受付係、会計係、接待係など)の人選と依頼
葬儀の「受付」を頼まれたときのマナーと対応について

などを、ほとんどの場合、仮通夜と同時進行で行っていかなければなりません。

リンク先の記事で詳しく説明していますので、ぜひご覧くださいね。

通夜の流れ

現在では「本通夜」といっても夜通し行うことはなく、

多くは19時頃に開始され1時間ほどで終了する「半通夜」が一般的となっています。

その後、通夜振る舞いとして簡単な会食が行われ、

21~22時ごろにはお開きとなることが多いでしょう。

最近では日中の葬儀・告別式よりも、夜間に行われる通夜の方が都合をつけやすいため、

弔問客が増えている現状がありますので、

会葬礼状・返礼品などは前もってしっかりと準備しておきましょう。

 
通夜の形式も多様化する傾向はありますが、一般的には次のように進行していきます。

流れを把握しておくと良いでしょう。

通夜の流れの例
 

  1. 受付開始・僧侶の出迎え
  2. 遺族・参列者の着席
  3. 僧侶入場
  4. 僧侶による読経
  5. 遺族・参列者の焼香
    喪主・遺族・親戚・参列者の順で行います。焼香する人が黙礼をしたら遺族は座ったまま黙礼で返すのがマナーです。
  6. 僧侶による法話
  7. 僧侶退場
  8. 喪主挨拶
  9. 通夜振る舞い
    簡易化したり省略したりすることもあります(次項参照)。
  10. 夜伽(よとぎ)
    参列者が帰ったあと、遺族だけで一晩中ろうそくの火「灯明(とうみょう)」と「線香」を絶やさずに遺体を守る習わしです。
    ただし、翌日には葬儀・告別式が控えているので、喪主や高齢の遺族には早めに休んでもらい、若い人が引き受けると良いでしょう。
    最近では、夜間の火の使用が禁止されているところもあります。

通夜を含めた葬儀全般についてはこちらでも紹介していますので、ご覧くださいね。
葬儀や通夜、告別式のマナーについて

また、喪主の挨拶についてはこちらで解説しています。
喪主の挨拶や服装について注意すべきこと

会食「通夜振る舞い」について

本来、「通夜振る舞い」とは故人との親交の深かった人と遺族が残って、

一晩中別れを惜しむ儀式として行われたものです。

しかし、通夜への参列者が増えたこともあり、

現在では感謝を込めてもてなす意味合いを含むようになりました。

同時に、参列者に故人を偲んでもらったり、

お清めのお酒を飲んだりする場となっていますから、簡素化される傾向にあっても、

場所の確保ができれば、別室に通してもてなすと良いでしょう。

また、僧侶にも同様のもてなしが必要です。

多くの場合、仕出し料理か折り詰め、日本酒・ビールなどの酒類を振る舞いますが、

前もって参列者の見込み人数で注文しておく必要があります。

葬儀の料金に含まれていないことが多いですが、葬儀社に依頼する方が安心でしょう。

また、場所の確保ができない、あるいは葬儀自体を簡素化しているなどの理由から

通夜振る舞いの席を設けないのであれば、

折り詰めなどを用意して持ち帰ってもらうこともできます。

葬儀社に相談してみると良いでしょう。