火葬の流れと骨上げの作法とは?時間や順番・箸の使い方

葬儀・告別式を終え、遺体を火葬したあとは「骨上げ/骨揚げ(以下骨上げ)」を行います。

遺族や親戚、ごく親しい人のみで行われる骨上げは、遺骨を骨壺に納める大切な儀式

でも、限られた人しか立ち会わないため、わからないことも多いのではないでしょうか。

ここでは火葬の前後の流れと「骨上げ」について、詳しく説明していきます。

骨上げの意味

日本では、人が亡くなったら火葬にして、遺骨を骨壺に納めるのが一般的です。

その際に行われる二人一組で一つの骨を専用の箸で拾って骨壺に納めていく儀式

骨上げ」といいます。

作法については後述しますが、この「骨上げ」にどのような意味があり、

なぜこのような作法になったのか、詳しいことはわかっていません。

一説には、日常と“逆”の行為をすることが弔事には多く見られるため、

普段は行わないことをするようになったと言われています。

例えば、骨上げで用いる箸は、長さも材質(竹製と木製)も異なるものを1組としており、

このような箸は日常では絶対に使いませんね。

食事中に2人で1つのものを箸で取ったり受け渡したりする行為も

“箸渡し”“合わせ箸”“拾い箸”“二人箸”などと呼んで、マナー違反とされています。

また、“箸で遺骨を渡す”ことで、

故人が三途の川(あの世とこの世の境目にあるとされる)を渡る

“橋渡し”の意味が込められているとも言います。

 
なお、火葬したからといって骨上げをしなければならないわけではありません

骨壺に納めた後、その引き取り手や、墓の用意なども必要になってくるからです。

これについても後述しますね。

火葬の費用

日本では骨上げする・しないに関わらず、火葬が必要です。

火葬の相場は、民営だと5万円~15万円くらい、

公営だと比較的安価で数千円~5万円くらいに抑えられますが、

住民以外は割高になりますのでご注意ください。

なお、葬儀費用・火葬費用には補助金を利用することもできます。

対象は、故人が国民健康保険または社会保険に加入していた場合で、

前者は「葬祭費」、後者は「埋葬費(または埋葬料)」の名目になります。

埋葬費(埋葬料)は通夜や告別式を行っていなくても火葬した場合は申請できるので、

問い合わせてみると良いでしょう。

葬儀における給付金(葬祭費、埋葬料)の申請について

火葬とその前後の流れ

告別式終了後に続けて火葬を行うのが一般的です。

前項のように、火葬場には民間と公営の施設があり、

通常は葬儀会場に近いところを選びますが、

混雑している場合は遠方にせざるを得ないこともあります。

火葬の時間は予約制のため、

葬儀の日程を決める時に葬儀社が手配しているはずなので、

それまでに出棺を行いましょう。

火葬場へ同行するのは喪主・遺族・親戚とごく親しい友人のみであることが多いので、

ほとんどの弔問客とはここで別れることになります。

出棺式などで喪主が挨拶を行い、弔問のお礼を伝えましょう

挨拶についてはこちらをご参照ください。

喪主の挨拶や服装について注意すべきこと

それでは具体的に火葬の流れについて見ていきましょう。

持ち物

悲しみと慌ただしさの中で行われる葬儀に続いて行われる火葬ですが、

忘れてはならない持ち物があります。

火葬場へ行くときの持ち物

  • 位牌
  • 遺影
  • 骨壺(葬儀社に依頼するか自分で用意)
  • 火葬許可証
  • 心づけ

特に忘れてはならないのが「火葬許可証」で、

これは死亡届を提出した時にその場で受け取るものです。

手続きを葬儀社が行った場合は、そのまま預かってくれていることもありますので、

必ず確認しておきましょう。

「心づけ」については別項で詳しく説明しますね。

手続きと納めの式

火葬場に着いたら、

葬儀社の人などに管理事務所へ火葬許可証を提出してきてもらいます。

霊柩車から運び出された棺は火葬炉の前に安置してくれますので、

ここで故人と最後の対面と焼香をしましょう。

言葉をかけたり、故人の顔に触れたりして、お別れをします。

僧侶が同行している場合には、

先に「納めの式(斂祭:れんさい)」を行い、読経も行ってもらいます。

ただし、火葬場によっては混み合っているなどの理由から、

すぐに炉の中に棺を入れることもあります。

また、地域によっては炉のスイッチを喪主や同行した人が行うこともあります。

気が進まなければ係員にお願いすることもできますので、申し出ましょう。

所用時間と過ごし方

火葬そのものに要する時間は約1時間ですが、

「骨上げ」などの収骨を含めると1時間半から2時間近くかかることが多いようです。

また、火葬にかかる時間や冷却までの時間も様々なため、

予定時間よりも前後することもあります。

 
この間、同行者は控室で待つことになります。

茶菓や軽食などの用意が必要ですので、

火葬場で用意できるのか葬儀社を通じて手配するのか確認しておきましょう。

僧侶が同行している場合は上座に座ってもらい、喪主が接待するようにしましょう。

なお、地域によってはこの待ち時間の間に

火葬場の控室や葬儀をした会場などで「精進落とし」の会食を行い、

収骨の時間に合わせて戻ることもあります。

火葬場を手配するときに確認しておくようにしましょう。

収骨

火葬および冷却が終わると、火葬場の職員が声をかけてくれるかアナウンスが入るので、

全員で収骨に向かいます

係員が炉の扉を開け、故人の遺骨・遺灰を骨上げ台に出してくれるので、

それを囲むように立ちましょう。

このとき、喪主や近親者が頭側に立つようにします。

骨壺に遺骨や遺灰を納める「骨上げ(こつあげ)」を行う場合は

専用の箸を渡されますので、係員の指示に従って拾っていきます

詳しい作法は次項をご覧ください。

 
火葬ならびに収骨が終わると、

最近では続けて「初七日法要」と「精進落とし」を行うことが多いようです。

精進落としは僧侶や参列者をお礼の意味を込めてもてなす席です。

火葬している間に「精進落とし」を行っていない場合は、初七日法要に続いて行います。

 
火葬場から法要の会場へ忘れ物のないように移動しましょう。

特に、火葬後に発行される「埋葬許可証」を忘れずに持ち帰りましょう

埋葬許可証は火葬許可証に日付を入れたもので、

葬儀社などが代行して手続きしてくれることが多いですが、

これがないと墓に納められないため、確認しておくと安心です。

火葬場を出る時の持ち物

  • 骨壺(遺骨・遺影を納めたもの)
  • 位牌
  • 遺影
  • 埋葬許可証

骨上げの作法

ここでは骨上げについて、行う順番や作法など具体的に説明していきましょう。

行う順番

骨上げは故人と縁が深い人から順に行っていきます。

骨上げを行う順番

喪主 → 遺族 → 親戚 → 親しい知人

骨上げは、遺骨を挟むようにして男性が左側、女性が右側に二人一組で立ち、

一片の骨を二人で一緒に拾い上げて骨壺に移していくのが正式です。

また、参列者全員で行うものですが、中には“骨上げが怖い”と感じる人もいますので、

無理に行わなくても大丈夫です。

小さな子供も同様ですが、行う場合は手伝ってあげると良いでしょう。

作法

骨上げをするときは係員が指示をしてくれますので、

それに従って行えば問題ありませんが、一般的な作法を紹介しておきましょう。

まず、骨上げで用いる箸ですが、前述の通り素材も長さも異なる一対の箸を使用します。

骨壺は予め葬儀社に頼んで用意してもらう場合と、火葬場で購入する場合がありますが、

この時までに用意しておきましょう。

詳細は後述しますが、分骨する場合は必要数の骨壺を準備してください。

また、骨上げの作法には地域性があり、

東日本ではすべての遺骨・遺灰を骨壺に納める「全収骨」、

西日本では一部の骨だけを納める「部分収骨」が多いようです。

ここでは一般的な骨上げについて紹介しましょう。

骨上げの作法
 

  1. 骨上げ台の周りを参列者が取り囲むように立ちます。
    喪主が頭側に立つのが一般的です。
    このとき、係員からお骨の説明を受けることがあります。
  2. 二人一組で箸を1対ずつ持ち、一つの骨を拾って骨壺に納めていきましょう。
    始めに喪主が足の骨を拾い、骨壺に納めます。次に拾う人に箸を渡し、足から頭の方へ向かって交代しながら骨を拾っていきます。
    (骨が多い場合は2回ずつ拾うこともあります。)
  3. 最後に喉仏を納めます。
    全員が終わったら、最後に故人と最も縁の深かった人(多くの場合、喪主)が喉仏の骨(第二頸骨)を拾って、一番上に納めましょう。
  4. 係員が骨壺のフタを閉じて白木の箱に入れ、袋をかけてくれます。
    喪主が受け取りましょう。
    このとき、箱の中に納骨時に必要となる「埋葬許可証」を入れてくれることが多いので、なくさないようにしてください。

なお、拾う骨については素人では判別できないことが多いので、

係員の指示に従いましょう。

一般的に拾う順番は、

足の骨・腕の骨・腰の骨・背骨・肋骨・歯・頭蓋骨(頭頂部の骨)と拾っていき、

最後に喉仏(第二頸椎の骨)となりますが、最初に歯を拾うこともあります。

このように入れいていくと、

骨壺の中で故人が立っているような位置に骨を納めることができます

喉仏が最後になるのは、仏が座禅している姿に形が似ているためと言われています。

また、全収骨と部分収骨では拾う骨の量が異なりますので、

係員に従って行うと良いでしょう。

 
骨上げが終わったら、遺骨は喪主、位牌や遺影は遺族が胸に抱えて火葬場を出ましょう。

骨壺にかける袋は錦袋(きんたい)・骨壺カバー・骨覆(こつおおい)などといい、

様々なデザインのものがあります。

最近では、箱も白木のシンプルなものではなく柄入りもあり、

このタイプは袋で覆う必要はありません。

 
このあと、初七日法要を行うのであれば、その会場に移動します。

帰宅する場合は、自宅に「後飾り壇」と呼ばれる祭壇をしつらえて遺骨を安置し、

灯明と線香を供えます。

葬儀はこれで終了となりますが、後飾り壇は四十九日まで飾っておきます

一般的には四十九日法要のあと、お墓に納める(納骨)ことになりますが、

時期に決まりはありません。

お墓の用意ができるまで手元に置いておく場合は、

後飾りを片付けたら仏壇などで供養していくと良いでしょう。

分骨・散骨したいとき

遺骨を分けて別々の場所で供養することを分骨(ぶんこつ)」といいます。

最近では故郷から離れて暮らす人が多く、お墓参りが大変になるため、

先祖代々の墓にも入れるけれど、日常の供養はお参りしやすいところで…

と考える人も増えています。

また、遺骨の一部を総本山・大本山・本山に埋葬し、

残りを家の墓に埋葬する宗派もあります。

どちらの場合も、遺骨を分ける必要が生じますので、

トラブルが起こらないように遺族や親戚の間でよく話し合っておくようにしましょう。

遺骨の権利は喪主にあると民法第897条「祭祀に関する権利の継承」で定められており、

喪主以外の人が勝手に分骨すると法に触れる可能性があるためです。

権利は喪主にあるといっても、故人を思う気持ちは皆にありますから、

喪主が分骨を希望する場合でも、きちんと話し合うようにしましょう。

 
分骨することが決まったら必ず葬儀社へ伝え

骨上げ時に分骨用の骨壺を用意しておきます。

火葬場についたら、係員にも分骨することを伝えておきましょう

分骨したものを墓に納めるには

火葬場で分骨用の「火葬証明書」または「分骨証明書」を受け取る必要がありますから、

骨上げだけでなく、書類に関してもトラブルを防ぐことができるでしょう。

これらの発行には数百円程度かかります。

なお、納骨したあとで分骨する場合は、

「分骨証明書」を寺や管理事務所に発行してもらう必要があります。

証明書は数百円程度ですが、墓石を動かすのに数万円、

その前後の供養のお布施として数万円かかるため、

将来的に分骨の可能性があるのなら、骨上げ時に行うことをおすすめします。

なお、分骨しても手元で供養するのであれば証明書は不要です。

しかし、のちのち墓に入れる可能性も考えて、

念のため書類は保管しておくようにしましょう。

 
最近では供養の仕方も多様化しており、墓にも手元にもおかず、

遺骨の全部あるいは一部を自然に還す散骨」を希望する人も増えています。

一部を散骨する場合は、やはり分骨用の骨壺を用意しておき、

骨上げの時に散骨用として分けておきましょう

そして、必ず骨上げの時に係員に散骨用であることを伝えておきましょう

…というのも、散骨用の遺骨は1~2ミリ以下の粉末状に砕き、

遺骨とわからない状態にしなければなりません。

係員に伝えておけば配慮してもらえるので安心ですよ。

なお、散骨するときには分骨証明書は必要ありません

骨上げしないとき

骨上げをすると、遺骨を納めた骨壺を引き取る人と保管する場所が必要です。

しかし、故人に身寄りがなかったり、お墓がなかったりという理由で、

骨上げを行わないケースもあります。

予め骨上げをしないことがわかっているときは、“焼き切り”という火葬の方法をとり、

遺骨が遺灰になるまで処理してもらうこともできますので、

お願いしておくと良いでしょう。

しかし、骨上げを行わない…つまり、骨壺に遺骨・遺灰を納めないと、

全てが残骨灰として自治体が定めた業者によって処分されることになります。

身寄りのないケースはともかく、遺族・親族がいる場合は、

将来トラブルにならないように十分に話し合って決めることをおすすめします。

気を付けたいこと

ここでは骨上げにあたって注意したい点をお伝えします。

骨上げは地域や宗教によって異なりますので、

葬儀社などとよく打ち合わせして必要なものを揃えるようにしましょう。

心づけ

火葬の際には、葬儀社や葬儀場以外の多くの人にお世話になります。

これらの人に感謝の気持ち

滞りなく行ってくれるようにお願いする意味を込めて渡すのが「心づけ」で、

地域差はありますが、3,000円~5,000円程度の現金で渡すのが一般的です。

火葬に際して心づけを渡す人と金額の目安をあげておきましょう。

《 心づけを渡す人と金額の例 》
渡す人 金額の目安
霊柩車の運転手3,000~10,000円(霊柩車のランクによる)
送迎用ハイヤーの運転手2,000~5,000円
送迎用マイクロバスの運転手 3,000~5,000円
火葬場の係員 3,000~5,000円(公営の場合は不要)
火葬場休憩室の接待係3,000~5,000円(公営の場合は不要)

心づけは葬儀社などにも相談して、予め用意しておきましょう。

小さな不祝儀袋か無地の白い封筒に現金を入れ、

表に「志(または寸志)」・「○○家」と記しておきます

渡すタイミングは難しいのですが、心づけには感謝の気持ちだけでなく、

万事うまく進めてくれるようなお願いも込められていますから、

できれば受け持つ仕事に入る前に渡すといいと思います。

例えば、運転手であれば出発前に、

火葬場の係員であれば火葬場に到着したときに渡せるといいですね。

中には葬儀社が心づけを預かって、葬儀社から渡してくれたり、

渡すタイミングで喪主に返してくれたりするケースもあります。

また、公営の火葬場では基本的に心づけを受け取りません

葬儀社に併せて確認しておくと良いでしょう。

骨壺のサイズ

前述の通り骨上げには地域性があり、「全収骨」と「部分収骨」があります。

これによって遺骨を納める骨壺のサイズが変わってくるので、注意が必要です。

なぜなら、部分収骨を風習としている地域(主に西日本)では、

墓や納骨堂の骨壺を納めるスペースが小さいため、

全収骨用の骨壺にしてしまうと収まらないという事態になりかねないのです。

特に、東日本で火葬して西日本で納骨するという場合は、気を付けましょう。