葬儀のお花や供物の相場、名前や送り方のマナーとは?

葬儀に参列すると祭壇や会場にはたくさんの花や品物が供えられていますね。

親しい人が亡くなったとき、供え物をしたいというのは自然な気持ちの表れでしょう。

でも、実際に贈るとなると、どうすれば良いのでしょうか?

また、金額の相場や送り方のマナーなどあるのでしょうか?

ここでは仏式での供花や供物を贈り方や相場の目安、マナーなどを中心に

詳しくお伝えしていきます。

葬儀や法要での供花・供物とは

日本人である私たちの多くは、仏壇や墓に花を手向け、

故人の好きだったものを供えるのが当たり前になっています。

同様に、通夜・葬儀・告別式やその後の法要においても、

たくさんの花や品物が供えられていますね。

では、これらにはどのような意味があり、

どんなものを供えるのが良いのでしょうか?

まずは“お供え”の基本を知っておきましょう。

供花(くげ)・供物(くもつ)とは

数十万年前、旧石器時代に生存していたネアンデルタール人の遺体に

矢車菊が供えられていたものが発見、

さらに縄文時代の墓からも多くの植物が供えられていた痕跡があり、

死者に花を手向けるという風習は有史以前から弔いの形としてあったといわれています。

時代は流れ、儀式として行うようになってからは宗教的な意味合いも込められ、

日本の仏教では、極楽へたどり着くまでに飢えや渇きに苦しまないよう

食べ物や飲み物を供えるようになり、これが「供物」となりました。

同様に、日本古来の宗教である「神道」でも意味合いは異なりますが、

花や品物を供えます。

特に、神様に食事を差し上げておもてなしをし(供物)、

それを下げて参列者がいただく風習は、日本の祭りの特徴ともいわれています。

一方で、“死=地上での赦し”となるキリスト教においては、

神のもとへの旅立ちとなる喜びも含まれるため、供養という概念は存在せず、

花以外の供物を供えるという風習もありません。

飲食物を供える風習は日本的なものということができるでしょう。

 
では、花はなぜ供えるのでしょうか?

前述の通り、有史以前の宗教と無縁な時代から花を供える風習はありましたが、

仏教が伝来し、それに則った儀式が行われるようになってからの供花には

理由があると言われています。

それは、仏教の説話にある

『亡くなった仏陀の上に沙羅双樹の花がしだれて遺体を囲んでいた』を由来としている、

あるいは植物の生命力にあやかって「良いところへ転生してもらいたい」、

「祭壇を極楽浄土に見立てている」などの諸説があります。

しかし、仏教に限らず花を手向ける宗教は多いため、

人間共通の弔意の表し方なのかもしれませんね。

供花について(枕花、後飾り、仏花、その他の法要)

供花といっても贈る時期や飾る場所などによって呼び方が変わったり、

それぞれに適した花があったりします。

それぞれ見ていきましょう。

枕花(まくらばな)

故人の枕元に飾る花のことです。

亡くなってから早い段階で手配する供花で、通夜が始まる前に届けますから、

ごく親しい人が贈るのが一般的です。

また、祭壇に飾る花のように名前の入った札などはつけず、

小さなカードに記名する程度なので、

親しい人がそっと花を供えたいという場合に適しています

納棺前は文字通り布団に横たわっているご遺体の枕元に供えますが、

納棺時に一緒に棺に納めたり(別れ花)、葬儀会場に運んで通夜・告別式で飾ったり、

あるいは火葬後に遺骨が戻ってきたときの後飾りとして使われたりなど、

納棺後もいろいろな場面で供えられることが多い花です。

 
枕花は通夜前から告別式・火葬後までの数日間飾られることもあり、

故人の自宅から葬儀場へと移送される可能性のある花ですから、

それらに適したスタイルや花の持ちを考えて選ぶことが大切です。

そこでおすすめなのが、籠などに生けられたフラワーアレンジメントです。

中には給水用のスポンジがセットされており、切り花と違って花の持ちが良く、

持ち運びしても水がこぼれにくいので安心です。

また、傷んだ花を取り除いてアレンジし直すのも簡単なので、

長く供えることができます。

亡くなって間もない時期ですから華やかな色合いの花は用いず、

白を基調として紫やブルー、薄いピンクなどの落ち着いたトーン

まとめるようにしましょう。

花の種類は菊やユリが多く使われますが、同じ菊でもスタンダードな菊は古典的に、

ピンポンマムなどの丸みのある菊はかわいらしい印象になりますし、

ユリも純白・うすいピンク・花のサイズによって雰囲気が大きく変わります。

他に、カーネーションやカラーのように白がメインの花、

トルコギキョウやデルフィニウムといった紫系の花、

豪華な印象の洋ラン(カトレア、デンファレ、シンビジウム)などが

比較的よく用いられる花です。

故人に合った花を選ぶと良いでしょう。

 
なお、枕花は本来1対(2基)を供えるものですが、

遺族・親族以外が用意する場合は1基で問題ありません。

また、あまりにも早く届けてしまうのも前もって用意していたかのように捉えられ、

遺族の感情を害する可能性があります。

訃報を受けたら少し時間をおき、通夜の前までに手配すると良いでしょう。

葬儀場での供花

単に「供花」というと、通夜や葬儀・告別式の会場に飾られる花を指すのが一般的です。

かつては祭壇の周りに1対で供えるものでしたが、

最近では葬儀場のスペースの関係で1つ(1基)だけ贈るのが主流です。

スタンドなどに載せて飾ることが多いので、

配置しやすいアレンジメントで贈るようにしましょう。

 
供花に適した花は、

枕花と同じように菊、ユリ、カーネーション、デルフィニウム、洋ランなどです。

ただし、地域によっては花輪の形式が好まれたり、

関西の一部では樒(しきみ)という常緑樹を供花として用いたりなど、

その土地の風習が強く反映されることもあります

 
また、会場の雰囲気によっては

自分が贈った花が適切でないというケースも考えられます。

昨今では葬儀のスタイルも多様化し、昔ながらの白と黒が主体の祭壇だけでなく、

花に囲まれた“花祭壇”にし、

故人や遺族の意向でカラフルな花をあつらえることもあるからです。

供花は祭壇近くに飾られるものですから、

個々の葬儀にあったものを贈るようにしたいですね。

葬儀場を取り仕切るのは葬儀社であることが多いですから、

供花を贈りたいときはどのようなタイプや色味が良いのか

葬儀社に問い合わせてみると安心ですよ。

さらに、故人の社会的地位が高かったり、人付き合いの広い人だったりすると、

多くの供花が寄せられ、会場に飾り切れないという事態もありえます。

このようなケースが予想される場合には、

供花を贈るのではなく「御供花料」として現金を包んで持参する方が良いでしょう。

後飾り(あとかざり)

「後飾り」とは四十九日や埋葬の日の忌明けまで遺骨を安置する祭壇のことで、

遺影、供物、燭台などと共に花も供えます。

通夜や告別式に参列できなかった人が弔問に訪れて線香をあげることもありますので、

花を飾ってさみしくないようにすると良いでしょう。

ただし、後飾りは自宅に設置する祭壇なので、サイズは小机くらいが一般的です。

スペースの問題もありますから、

後飾り用に贈る場合は小さめのフラワーアレンジメントが良いでしょう。

前述の通り、枕飾りの花をアレンジし直すこともありますが、

後飾りは四十九日までと期間が長いため、

ずっと籠などに入ったアレンジメントを飾る必要もなく、

花瓶や一輪挿しに生けても問題ありません

 
なお、後飾りの花は四十九日前とは言っても無事に葬儀を終えることができ、

遺族も徐々に悲しみを乗り越えていく時期に贈るものです。

葬儀の直後でなければ枕飾りより色味のある花を選んでも失礼には当たらないので、

花持ちもよく華やかさを添えられる洋ラン、

少し色味のある菊やユリなどが適しています。

故人が好きだった花や遺族の気持ちを和らげるような花を贈るのも良いでしょう。

最近では水やりの必要がない「プリザーブドフラワー」も用いられています。

これは花や葉を特殊な液に浸して水分をぬくことで保存性を高めたもので、

ドライフラワーよりも自然に仕上がります。

生花より割高ではありますが、贈り物として人気があります。

仏花(ぶつばな)

仏花とは仏壇に供える花です。

四十九日が過ぎると納骨が行われ、故人の位牌は仏壇に納められますので、

これ以降は花も仏壇に供えるようになるわけです。

仏花は3本・5本・7本と奇数で供えるのが一般的で、種類に決まりはありませんが、

仏壇を汚さないよう花粉や花びらが落ちにくい菊の花が多く利用されています。

この頃には喪の色もだいぶ薄くなっていますので、

花も黄色やピンクなど華やかな色味のものを供えても問題ありません。

仏花は弔問客が持参するというよりも、遺族が日々供えることの方が多いものですが、

遺族を訪問するときに花を買っていったり、

自宅で咲いた季節の花を供えてもらったりしても良いでしょう。

また、前述のプリザーブドフラワーや造花も仏花として用いることができます

その他の法要(お盆・墓参り・一周忌以降)

ほとんどの場合、納骨を終えると次の法要は

初盆(はつぼん)または新盆(にいぼん)と呼ばれる初めてのお盆となります。

お盆にはあの世へ旅立った魂がこの世に帰ってくると言われ、

遺族が墓まで迎えに行ったり迎え火を焚いたりしますが、

初盆には故人の魂が初めて帰ってくるので、特に盛大にお迎えする風習があります。

お盆の時期は旧暦の7月15日だったのですが、

現在ではほとんどの地域で旧暦を新暦に換算した8月15日に行っているものの、

東京や神奈川などでは旧暦の時の日付をそのまま用いて7月15日に行います。

内容にも地域差が大きく、決まった形式はありません

ですが、故人をお迎えするための“精霊棚”を設け、

そこに花を供えるのは多く見られる風習です。

新盆の場合はまだ日が経っていないので、白を基調とした花を供えるのが良いでしょう。

自宅に伺う場合は花束でも問題ありませんが、

別の場所に集まる場合はアレンジメントに仕立てる方が持ち運びを考えると親切です。

花を送る場合は、盆の入りにあたる13日までに届くように手配しましょう。

 
また、「お彼岸」を含め墓参りに行くときも花を供えることが多いですね。

多くの墓には花立てが対で取り付けられていますが、

細いものが多いので、本数が少なめの花束を2つ用意しましょう。

色や種類は限らず、季節の花々や故人の好んだ花で良いと思いますが、

花びらが散るポピーなどは墓を汚してしまうので避けた方が良いでしょう。

なお、寺や墓所によっては供え物に関するルールがあるところもありますから、

遺族に聞いてみると良いでしょう。

 
一周忌や三回忌などの法要は菩提寺で行うことが多いと思います。

通夜や葬儀の時より色味があっても問題ありませんが、

飾りやすいようにアレンジメントプリザーブドフラワーなどを贈ると良いでしょう。

供物について

故人への弔意を表す「供物」は、故人の霊を慰めるために、

親族や故人と交流の深かった人が品物を贈るものです。

「枕飾り」として通夜が始まる前に故人が好きな物を供えることもありますが、

多くは通夜や葬儀・告別式などで祭壇に供えるものを指します

何を送るかについては地域による違いが大きいので、

葬儀社などに確認した方が良いこともありますが、一般的には次の通りです。

 

《 供物の適・不適について 》
適したもの 線香、ろうそく、果物、菓子、缶詰、五穀、故人が好きだったもの
適さないもの 肉や魚などの生もの(不殺生戒という戒律のため)

最近では品物を贈るよりも、「御供物料」として現金を包むことが多くなっています

しかし、葬儀後に供物を参列者で分け合う地域や、

海の幸・酒類を供えないこともありますので、葬儀社などに聞いてみると良いでしょう。

 
また、四十九日以降、一周忌、三回忌などの法要に供物を持参することは

近年少なくなっており、「御供物料」として現金を包む人が増えています。

しかし、風習によっては供物を持参するのがマナーの場合もありますので、

その場合は直接持参するようにしましょう。

かさばらず、重くないものを選ぶように配慮すると、遺族が持ち帰るときも楽です。

相場

供花も供物も葬儀場に飾られるので、

内容だけでなく見栄えや形式も葬儀にふさわしくなければ遺族に失礼にあたります。

そのため多少割高になる傾向があるのも事実です。

 
枕花は籠などのアレンジメントの場合5,000~10,000円が相場ですが、

葬儀場に飾られる供花はスタンドが付いたり少しボリュームを出したりするので、

7,000~25,000円(全国平均15,000円)となります。

これは1基の価格なので、1対で手配する場合は2倍の金額になりますからご注意下さい。

もちろん、洋ランなどの高価な花を選べば、その分高額になります。

花輪の場合は15,000円~20,000円が一般的なようです。

 
一方の供物については、自分で手配する場合は金額も数千円程度から用意できますが、

葬儀社などに依頼した場合は盛り籠になることが多く、

5,000~15,000円くらいが相場でしょう。

送り方や名前の書き方、マナーなど

ここでは具体的な手配方法やマナー・注意点について説明していきましょう。

手配の方法

手配の仕方については、直接店舗で選ぶほか、

インターネットで注文したり、葬儀社に依頼したりする方法があります。

 
店舗やインターネットで手配する場合は、必ず下記の点を確認しましょう。

 

店への確認

  • 弔事用の対応をしてもらえるか(のし・包装紙、札など)
  • 送り主(自分、団体)を記載してもらえるか
  • 葬儀などの日時に間に合うか



会場(葬儀社)への確認

  • 送ったものを供えてもらえるか


特に最後の会場(葬儀社)への確認は大切です。

中には自社で手配したもの以外は祭壇に供えてもらえないケース、

持ち込み料が発生するケースもあるからです。

また、大きすぎたり場所が無くなったりしても置けなくなってしまうので、

併せて確認あるいは場所の確保をしておきましょう。

 
このように、供花や供物は故人で手配することもできますが、

会場の規模や雰囲気、地域のしきたりなどわからないことがあったために、

ふさわしくないものを選んでしまうこともあり得ます。

また、祭壇の統一感のためにも、執り行う葬儀社に依頼する方が良い場合もあります。

葬儀社に頼むと選択肢は狭まりますが、自分のものだけサイズが適当でなかったり、

場違いな雰囲気のものであったりするリスクはなくなります

店舗からでは発送が間に合わない場合でも、

葬儀社なら直前まで対応してくれることがありますよ。

送るタイミングと送り主の書き方

供花や供物は葬儀会場の祭壇やその周囲に供えられますが、

席次と同じように故人との関係の深い人や社会的地位の高い人からのものほど

祭壇に近いところに並べられます

もしも祭壇近くに飾られるべき人からの供花や供物が並べ終わった後で届いたら、

困ったことになりますね。

そのため、持参するよりも準備の段階で会場に届いている方がよく、

通夜が始まる前には到着するように手配した方が喪主側の負担になりません。

 
同様の理由で、送り主が誰かわかるようにすることもマナーです。

供花や供物には基本的に氏名や所属なども添えて届けるようにしましょう。

供花には個人名や「○○会社△△」などの札を付け、

供物には「御供物」「御供」「御霊前」などの表書きをし記名したのしを付けます。

のしの水引は、東日本の場合は黒白5本の結びきり、

西日本の場合は黄白5本の結びきりが一般的です。

いずれも弔事であることを告げれば包装紙やのしは店が選んでくれますが、

デパートなど対応に慣れたところで購入すると安心ですよ。

 
なお、数人で贈る場合は「○○一同」とするか連名にしましょう。

連名の場合は中央に年配者を、他の人はその左に名を連ねるようにしましょう。

弔意をアピールするようで記名したくない場合は、

現物ではなく「御供花料」や「御供物料」として現金を包むのも良いと思います。

その他のマナーと注意点

ここでは仏式での供花や供物について触れてきましたが、

宗教が違うと異なる点もあるので気を付けましょう

例えば、神道では白い花が主流で、線香やろうそくは供えませんし、

キリスト教では造花は厳禁、

供花や供え物は教会で受け取ってもらえないこともあります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。
神式の葬儀のマナーは?服装、香典やお花について
キリスト教の葬儀のマナーは?服装、香典やお花について

 
一方、仏教で供える花については白い菊やユリなど適した花があるものの、

明確な決まりがあるわけではありません。

最近は葬儀のスタイルが多様化しているため一概には言えませんが、

一般的に棘のあるバラやアザミ、香りがきつい花、毒のある曼殊沙華やスズランなどは

避けた方が無難でしょう。

 
また、葬儀社以外を通して供花や供物を手配する場合は、

遺族や葬儀社に承諾を得ておくことをおすすめします。

できるだけ具体的に

「果物の盛り籠を送りたい」「スタンド付きの花を送りたい」などと伝えておけば、

会場の準備時にスペースを確保してくれたり、

供花や供物が適していな場合はその旨を教えてくれたりします。

特にスペースが必要な花輪を送る場合は、必ず確認するようにしましょう。