葬儀の「受付」を頼まれたときのマナーと対応について

お通夜や告別式では、悲しみに暮れる遺族のサポートを頼まれることがあります。

その代表的な役割が「受付」。

遺族の信頼の証でもありますから、無事にやり遂げたいですね。

ここでは受付を中心に会計・進行・台所など、

“葬儀の係”を頼まれたときのマナーと対応について詳しくお伝えします。

準備

受付は、遺族の代理として弔問客を一番初めに迎える係です。

“葬儀の顔”といっても良いでしょう。

そのため、参列者に与える印象も大きいと言えます。

弔事は急に訪れるものなので、

受付を頼まれて心の準備が追い付かないこともあるかと思いますが、

まずはできる所から整えていきましょう。

最初は服装からです。

基本的には葬儀や通夜の服装マナーに準じていれば問題ありません。

仏式における葬儀や通夜の服装について

受付係は手元を見られることも多いので、結婚指輪は意外と目立ちます。

気になる人は、はずしてしまいましょう。

また、お辞儀をする機会が多い受付では、髪が長いと邪魔になるだけでなく、

顔にかかるたびにかきわける仕草が弔問客に不快感を与えることもあります。

髪は黒のゴムなどで束ねるか結い上げて、

動きやすく清潔感のある髪型を心掛けましょう。

会場についたら

弔問客を迎えるのに伴って、受付係には意外と多くの役割があります。

準備のためにも、葬儀当日は時間に余裕をもって式場に到着できるようにしましょう。

挨拶

到着したら、まず遺族にお悔やみを述べ、葬儀社の人がいれば挨拶しておきましょう。

最近ではほとんどの葬儀が葬儀社によって執り行われます。

受付に関わることも葬儀社がほとんど準備してくれますから、

挨拶の際に担当者の顔と名前を覚えておくと良いでしょう。

式の規模によっては、葬儀のお手伝いをする人を取りまとめる

「世話役代表」となる人がいることもありますので、

併せて挨拶を済ませておきましょう。

また、受付係は通常2名で行い、

双方が知り合いであることも多いのですが、改めて挨拶し、

二人でうまく連携して葬儀を無事に終えることができるよう顔合わせしておきます。

このときに、

  • 香典を受け取って芳名帳に記帳してもらう人
  • 会葬返礼品を袋に詰めて渡す人
  • 上着・手荷物を預かる人



などの役割分担をしておきましょう。

受付の準備

多くの場合、葬儀社が受付となる記帳台に、

芳名帳・供物帳・香典帳・筆記具・名刺受けなどを用意しています。

筆記具にはボールペンや筆ペンなどありますが、

いずれもインクにかすれなどないか確認しておきましょう。

できれば芳名帳の各行ごとに番号をふっておき、

記名した人の香典袋にその行番号を記入しておくと、会計係の作業が楽になります。

また、弔問客が来たらすぐに渡せるように、

会葬返礼品は予め紙袋に入れて数点用意しておきます。

弔問客が多いと予想される場合は、記帳で時間をとってしまわないように

芳名帳を多めに用意できるか葬儀社に聞いてみると良いですね。

会場と式の把握

弔問客が最初に会う式場側の人は「受付係」です。

そのため、葬儀に関して質問されることもしばしばあります。

ですから、受付と式場、待合室、遺族控室などとの位置関係や

トイレの場所などをしっかりと把握しておきましょう。

また、式の流れや開始時間についても頭に入れておきます。

通夜の場合は、告別式などその後の式の予定日時も把握しておくと万全です。

焼香

式が始まると弔問客の対応に追われ、受付係は自分のことには手が回らなくなります。

受付も式場も準備が整い、弔問客がまだ到着しないようでしたら、

遺族に断って先に焼香させて頂きましょう。

もしできなかった場合は、式が始まってから弔問客が少ない時間帯を見計らって、

他の受付係と交代で焼香します。

参列者が来たら

葬儀が執り行われる時間が近づくと、参列者が到着し始めます。

30分前には受付が開始できるよう、時間に余裕をもって持ち場につきましょう。

弔問客への挨拶

遺族の代理として弔問に訪れてくれた人を迎えるのが、会計係の役割です。

丁寧な対応を心掛けましょう

挨拶としては、

本日はお忙しい中お越しいただきましてありがとうございます

と心を込めてお礼を述べるのが一般的ですが、

雨天や冬場などは「お足元の悪い中」「お寒いところ」など言い換えても良いですね。

記帳および香典・供物・供花の受け取り

挨拶が終わったら、芳名帳に記帳してもらいます。

恐れ入りますが、こちらにお名前をご記入下さい」と丁寧に言い、記帳を促します。

弔問客の多くが香典を、中には供物・供花を持参する人もいますので、

遺族の代理として受け取りましょう

お辞儀とともに「ご丁寧に恐れ入ります」「お預かりします」など

一言添えるようにします。

受け取った後、参列者が受付から離れてから香典は会計係に、

供物・供花は供物帳などに記録した上で進行係か葬儀社の人に渡し、

お供えしてもらいます。

特に香典は現金ですから、くれぐれも慎重に取り扱いましょう。

最近では受付の混雑を解消するために『芳名カード』を利用するケースも増えています。

カードには芳名帳と同様に氏名や住所、中には故人・遺族との関係が記入できたり、

名刺を挟み込めたりするものもあります。

記入は受付台、混雑時は空いているスペースなどで行い、

終わった人から受付に持ってくるので、両手で丁寧に受け取り、

専用の入れ物に保管するようにします。

番号を記入できるものは予め記入しておき、

頂いた香典と対応できるように香典袋の隅に芳名カード番号を記入しておくと

後の管理も安心です。

会葬返礼品を渡す

記帳が終わった人には、「会葬御礼」と共に「返礼品」をお渡しします

これは弔問に訪れてくれたお礼なので、香典の有無にかかわらず渡しましょう

香典を預かってきてくれた人にはその人の分も渡しますが、

数が多い場合は大きめの紙袋にまとめて入れるといいですね。

上着などを預かる

季節によってはコートなどの上着類

遠方や会社帰りの弔問客などは大きな手荷物を持ったまま来場することがあります。

参列や焼香などの邪魔になりますので、声を掛けて預かると良いでしょう。

その際、貴重品が入っていないか必ず確認しておきます。

タグやメモなどに記名して、返すときに困らないようにしましょう。

式場までの案内

年配の方や場所を聞かれた場合などは式場まで案内するようにします。

住職などが到着した際も、遺族や葬儀社の付き添いがなければ案内します。

ただし、必ず受付に1人は残るようにしましょう。

その他

受付には参列できない人からの弔電や供花が届くこともあります。

宛先に間違いがないか確認したら受け取って、記帳しましょう。

どちらも受付が混雑していないときに進行係か葬儀社の人に預けます。

特に弔電は式で読み上げることもあり、その順番が重要となるので、

早めに渡すように配慮しましょう。

受付が終了したら

式が終わりに近づくと、弔問に訪れる人もまばらになります。

手が空くようになったら、記帳の漏れがないか確認し、

記入済みの芳名帳は整えておきましょう。

余った会葬返礼品はまとめておきます

帰宅する人が式場から出てきたら、

「ありがとうございました」とお辞儀してお見送りし、

タクシーが必要な人には手配しましょう。

なお、告別式の場合は火葬場へバスなどで移動しますが、

これに遅れて到着する参列者もいます。

このような場合は記帳のみにするか火葬場へ向かうかを伺い、

後者の場合はタクシーなど手配する必要が生じます。

あらかじめ対応法を遺族か葬儀社に確認しておくと良いでしょう。

式が終わったら、受付にある記帳したもの、筆記具、名刺受け、

余った会葬返礼品などをまとめて遺族か葬儀社に渡します

香典に関しては次項をご覧ください。

会計係、台所係、司会係などを頼まれたら

弔問客が多い葬儀では、受付のほかに

会計」「台所」「司会」などの係を設けることもあります。

ここでは受付以外の係を頼まれたときのマナーや対応について見ていきましょう。

会計係

「会計係」とは弔問客から受け取った香典の中身(金額)を確認・記録し、

保管する係です。

現金を扱うため、遺族から信任のあつい人や親戚などから2名ほど選んで

頼むことが多いでしょう。

服装

会計係は、受付係が記帳の際に受け取った香典をすぐに確認する必要があるため、

通常は受付係のすぐ後ろに待機します。

ですから、受付係と同様の喪服で葬儀に向かいましょう。

外での応対の可能性もありますから、

冬場はコートなしでも寒さをしのげるような防寒対策が必要です。

持ち物

会計係は香典の帳簿を任されることになります。

お金の計算をすることになりますので、電卓、筆記用具、メモ用紙、輪ゴム

などを持っていきましょう。

スマホや携帯にも計算機能がついていますが、

やはり電卓の方が見間違いや押し間違いが少なく、正確な集計に適しています。

また、香典を決まった数ずつ束にまとめたり、

それに帳簿の番号を対応させたメモをつけておいたりするのに

輪ゴム・メモ用紙があると便利です。

当日の流れ

葬儀当日は早めに会場に入り、連携する受付係の人や遺族に挨拶をしておきましょう。

できれば受付係の人に、芳名帳の行ごとに番号を振っておき、

香典袋にその行番号を記入してもらえるようお願いしておきましょう。

また、会計係は直接弔問客と接することはありませんが、

現金を取り扱うため持ち場を離れることができません

トイレなどは早めに済ませ、

他の係に会計を任せることがないように気をつけましょう

このことは、責任の所在を明らかにし、不要なトラブルを避けるためにも重要です。

弔問客が来たら、受付係と上手に連携して会計処理をしていきます。

受付係は記帳の際に受け取った香典を、

その弔問客が離れたタイミングで会計係に渡します。

会計係は受付係のすぐ後ろに配置されることが多いので、

受け取ったら後ろ向きになって香典の中身を確認し、記帳・計算をしていきましょう。

もし、香典袋の金額と中身が違っていたり空だったりしたら、

受付係に氏名を伝え、その旨を本人に伝えてもらいます。

これはできるだけ早い方が良く、失礼に当たることではないので、

その場で対応していきましょう。

集計の方法は担当した人に任されることが多いようですが、

香典袋を開けて金額を確認した時に、元に戻さず、

金種ごと(千円札、5千円札、1万円札)に振り分けてしまった方が

間違いが起こりにくいのでおすすめです。

風で飛ばされないよう重りになるようなものを載せるなどして、記帳していきましょう。

中身を出した香典袋は芳名帳の番号ごとに10ずつまとめて輪ゴムで留めておきましょう。

最後に現金と帳簿の合計金額がぴったり合えば、問題なしです。

集まった香典は葬儀社などが用意するカバンなどに納め、

喪主か喪主に指定された人に直接手渡ししましょう。

最後まで目を離さないように心掛けてくださいね。

台所係

台所係は接待係を兼ねることも多く

ほとんどの場合、町内会や隣近所の女性などが依頼されることの多い係です。

地域によっては自宅葬の場合、通夜振る舞いなどの料理を作ることもあり、

その地方のしきたりに従う方が無難です。

台所係は数名に依頼するのが普通ですので、

経験が浅い人は先輩方にお任せし、お手伝いに徹するのが良いでしょう。

葬儀場などで行う場合は、茶菓やお弁当を出したりするのが主な仕事となります。

どちらの場合でも、飲食物を扱う係ですので、清潔感は大切です。

動きやすい喪服白または黒のエプロンや割烹着

なければできるだけ地味な無地のものを持参し、つけましょう。

畳の上を歩き回る可能性があるときはストッキングが伝線しやすいので、

替えを持って行くことをおすすめします。

ただし、通夜振る舞いを作るために葬儀前に集まって料理する場合は、

喪服ではなく白のブラウスに黒のスカート・パンツでも問題ない地域が多いです。

カーディガンなどの羽織物も黒・紺などであれば大丈夫でしょう。

なお、髪が長い人は束ねておくのもマナーです。

料理やお弁当、茶菓をお出しするときは「失礼します」「どうぞ」などと一声かけ、

両手を添えるのが丁寧です。

弔問に訪れてくれた人に感謝の気持ちを込めてお出しするようにしましょう。

司会係

司会係は葬儀をスムーズに進める、いわば進行係でもあります。

しかし、葬儀の進行は自分だけの采配で行えるものではありません。

葬儀の主役はあくまでも故人であり、

葬儀は故人の遺志を継いだ遺族の主旨に従って執り行われるべきものです。

ですから、司会係を頼まれた場合は、喪主や葬儀社との綿密な打ち合わせが必要です。

また、葬儀の詳細を把握する立場にあるため、

司会係は喪に服している遺族に代わって様々な係を務める世話役の代表ともいえます。

こう考えると引き受けるのをためらう人もいるかもしれませんが、

司会係を頼まれるのは遺族の信頼の証。

影となり日向となって悲しみに暮れる遺族を支える役割ですから、

余程のことがない限りは引き受けるのがマナーです。

では、どんな点に注意して当日を迎えれば良いでしょうか?

服装と準備

人前に立つ機会が多い司会係の服装は、遺族同様、ブラックフォーマルが適しています

金属や光沢のあるものは避け、清潔感のある身だしなみを心掛けましょう。

足元ですが、エナメルの靴は葬儀の場では意外と目立ってしまうので、

普通の黒い革靴を選びます。

また、当日の式のムードは司会者の印象で大きく変わります。

できれば、当日までに喪主や葬儀社と打ち合わせをし、

どのような葬儀を望んでいるのかイメージを確認しておくようにしましょう。

そして次項を参考に、その趣旨に沿った式の進行を考えておきましょう。

当日の流れ

進行係は葬儀の内容はもちろん、

会場の席次の確認、他の係との連携、弔電の紹介なども受け持ちます。

早めに会場に入り、喪主や葬儀社との最終打ち合わせ、

他の係との顔合わせや確認などは済ませておきましょう。

特に慎重に取り扱うべきなのが席次や弔電などの「名前」と「順番」です。

故人との関わり合いや先方の地位などを考慮して、

名前の読み間違いや紹介・案内する順序を逆にしてしまうことがないように、

よく確認しておきましょう。

弔電は式の当日に届くものですから、前もって把握することができないため、

遺族に目を通してもらい、紹介の順を決めてもらうのが一番です。

最近では司会を葬儀社のプロに依頼することも増えています。

しかし、故人を良く知る司会者による進行は、

温かみがあり故人を偲ぶことができる葬儀として心に残るものとなります。

大変な役目ではありますが、頼まれたらぜひ引き受けて、

故人を送り出してあげるのが良いのではないでしょうか?

ほとんどの葬儀には多かれ少なかれ葬儀社が関わっていますから、

心配なことやわからないことがあれば相談してみると良いでしょう。